住民主体で認知症の人を支える仕組みを考える講演会が7日、相模原市南区の相模女子大学で行われた。福岡県大牟田市の「はやめ南人情ネットワーク」代表の汐待律子さん(75)が警察や介護サービス事業者などと連携した取り組みを紹介し、約90人が耳を傾けた。
同ネットワークは、認知症の人が行方不明になった場合に連絡を受けて対応するほか、徘徊(はいかい)模擬訓練や小中学生に認知症への理解を深めてもらう教室などを行い、啓発にも努めている。設立は2004年。炭鉱の閉山で急速に進む高齢化に危機感を覚えた住民らが中心になったという。
汐待さんは講演で「認知症に対する正しい知識がなく、家族も『恥』として隠していた」と設立当時を振り返る一方、学習会を重ねて地域の理解を得たことを挙げ「必要だったらあきらめずに取り組んで」と呼び掛けた。
活動は市内の一部の地区を対象にしていたが、今では市内全域に広がっている。「10年前は、徘徊している人がいても見て見ぬふりだった。地域の中で見守る力が育った」と成果を強調。「自分たちの力でやってみるのが大事」と実践を促した。
講演会は、同大人間社会学部の松下啓一教授ゼミの主催。