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自衛官の自殺率高水準 海外派遣期に上昇傾向

社会 | 神奈川新聞 | 2015年6月6日(土) 03:00

自衛官と国内成人の自殺率の推移
自衛官と国内成人の自殺率の推移

 2004年度から14年度までの自衛官の自殺死亡率が、日本人成人の平均よりも高水準で推移していたことが、政府が5日に閣議決定した答弁書で分かった。アフガン戦争とイラク戦争に関連し、特別措置法に基づいて自衛官が海外派遣されていた時期の自殺率が高い傾向がみられる。答弁書では、自殺にはさまざまな要因が複合するとして「海外派遣との因果関係を特定するのは困難な場合が多い」としながらも、防止対策を進める姿勢を示した。

 民主党の阿部知子衆院議員(比例南関東)の質問主意書への答弁。

 答弁書が示した自衛官の自殺死亡率(10万人単位)は04年度に39・3人、05年度と06年度は38・6人だった。04年度~14年度では、同時期の日本人成人の平均値を、9~3ポイント程度上回っている。

 04~06年度には、3自衛隊と事務官を合わせた自殺者数の合計が、いずれも100人を超えた。ただ、これ以後は減少傾向で、14年度は69人となっている。

 インド洋やイラクに派遣された自衛官に関しては、在職中に計56人が自殺しているとした。自殺原因の内訳は、「借財」が6人、「家庭」が7人、「職務」が3人、「精神疾患等」が14人、「その他」が5人、「不明」が21人だった。

 01年のテロ対策特措法成立後、一時的な中断を挟んで、海自隊員がインド洋で対テロ作戦に従事する外国艦船への補給支援に従事した。04年からはイラク特措法に基づき、陸自隊員がイラク南部サマワで復興支援に従事、空自隊員も支援輸送を実施している。


◆「外の風入れるべき」

 「夫は弱音を吐かなかった。自衛隊員は何かが起きたら家族を置いて任務に行かなければならず、情報を話すこともできない」。インド洋に半年間派遣された海自護衛艦の乗員を夫に持つ県内の女性は、任務を帯びる自衛官を「大変さがある」と気遣う。

 横須賀市の市民グループのメンバーの男性(67)は自衛隊員の悩み相談を受けるホットラインを開設している。海外派遣が頻繁だったころは問い合わせも多かった。隊員の自殺者数が最近減っていることを「メンタルヘルスや自殺対策が反映しているのでは」と推測。ただ「現在は厳しい海外派遣が少ないが、安保法制が成立したらどうなるか。外部組織で見守るオンブズマンが必要だ」と訴える。

 護衛艦「たちかぜ」乗員のいじめ自殺をめぐる訴訟で原告側弁護団長を務めた岡田尚弁護士は「閉鎖空間で上下関係も厳しい自衛隊は自殺を誘因する風土がある」と指摘。任務や職責の大きさから規律が重視される結果、指導や訓練と私的制裁の区別が付きにくいとして「内部だけの対応では解決せず、市民とネットワークをつくるなど外部の風を入れることが大切だ」とも強調している。

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