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「共に学ぶ仕組みを」 県教委、“包括的な”課新設

社会 | 神奈川新聞 | 2015年6月1日(月) 17:09

「インクルーシブ教育推進課」入り口にある表札。英語表記で推進はプロモーションになっている
「インクルーシブ教育推進課」入り口にある表札。英語表記で推進はプロモーションになっている

 今年4月、県教育委員会事務局に機構改革で「インクルーシブ教育推進課」が新設された。上層に「部」を置かず、単独の「課」として独立させた変則的な形。そこに込められた狙いと、「インクルーシブ教育」という、いまひとつ聞き慣れない言葉の背景を追ってみた。

 英語の「インクルーシブ」を直訳すると「包括的な」。同課によれば、「障害のあるなしにかかわらず、できるだけ、すべての子どもが共に学ぶ仕組み」をつくることが課の目的。話を聞くと「できるだけ」というところが当面のポイントらしい。

 試しに一部改訂作業が進行中の「かながわ教育ビジョン」を読んでみる(左の記事参照)。2007年策定冊子の巻末用語解説では「インクルージョン」の項で、「通常教育と障害児教育を区分した上で統合しようとする、それまでの二元的な考え方を克服し(略)一元的な学校教育を創造することを目指して…」とある。“まず分離(隔離)ありき”の考えを改めよう-ということだ。

 改訂に向けた提言書では、この「インクルージョン」の項が「インクルーシブ教育システム」に替わり、昨年1月に批准された「障害者の権利に関する条約」を引用。要約すると「障害者の社会参加を可能にするため」障害のある者とない者が共に学ぶ仕組み-となっている。

 学校教育の先に、卒業後の社会参加のあり方(と、望ましい社会の姿までも)を見すえている。なんと壮大な。

 ただ壮大すぎて、すぐに実現できることが限られている。一挙に特別支援学校や学級をなくすわけにはいかない。障害の程度に応じて、必要な支援は当然ある。だが、いわゆる普通学級にも、全員にそれぞれに必要な支援があるはずだ-という。

 そこで、組織図上の位置の問題。ホームページを見ると、上から「総務室」「行政部」の次に「インクルーシブ教育推進課」がきて、「指導部」「支援部」「生涯学習部」と続く。これはなぜ?と尋ねたら、“縦割りの弊害を避け、問題を共有するため”といわれた。

 実際にインクルーシブ教育の現場となるのは、小中高校(含む特別支援)。その現場を所管する部署は、義務教育を担当する「支援部 子ども教育支援課」と、高校担当の「指導部 高校教育課」に分かれている。仮にインクルーシブの担当部を置くと、「支援部」「指導部」とは別組織なので別行動という意識になりかねない。だからあえて変則的で緩やかな形にしたのだという。

 5月現在の「インクルーシブ教育推進課」は、担当部長と課長、それに指導主事6人という陣容(6月人事で増員予定)。部ではないのに担当部長がいるというあたりが、苦心の跡ということか。

 2015年度当初予算では、インクルーシブ教育推進のため1937万円(前年度の60倍以上!)が計上された。高校と中学のモデル校で実践研究を行うほか、普及啓発リーフレットの作成や、8月に講演やパネルディスカッションを行う集いを予定している。

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