
アフガニスタンでのNGO(非政府組織)活動などを通して集団的自衛権を考えてもらおうと、現地などで医療活動を続ける医師の中村哲さんの講演会が31日、藤沢市湘南台のJAさがみ本店で開かれた。市民団体「フォーラム21湘南」の主催。
中村さんは国際NGO団体「ペシャワール会」の現地代表を務める。1984年から、アフガンやパキスタンでハンセン病の治療や飲料水の水源確保などに携わってきた。
講演では、わずかな金もないために薬が買えず、人々が亡くなっていく状況を解説。治安が不安定な時期は、強盗に襲われないよう診療所に武器を備えて治療していた様子を伝えた。
その上で、「アフガンに関わる報道は、戦争や政治のことばかり。今も進行する干ばつで多くの村が荒野になったが、飢餓に対する支援は何もなかった」と中村さん。2001年には米中枢同時テロの報復として爆撃が始まった。「やってきたのは食べ物ではなく、爆弾の雨だった。いかに食べていくかが問題になっている国で、戦争をしている暇はない」と訴える。
中村さんは現地に滞在する中で、集団的自衛権は「言葉のまやかしで、連合軍に参加すること。罪もない命を奪い、つくらなくていい敵をつくってきた」と感じるという。一方で、軍事行動が制限されている日本だからこそ、「好感を持たれて命拾いしたことも多かった」と振り返った。
参加した同市の女性(57)は「あらためて、戦争によって苦労している人々がいることを理解すべきだと思った」と話した。