綾瀬市は27日、救急隊員がAED(自動体外式除細動器)処置中に誤ってコードを切断し、2日後に男性患者が死亡した事故で、遺族に和解金100万円を支払うと発表した。
市によると、2010年1月、同市深谷上の市民スポーツセンターで市内在住の自営業の男性=当時(69)=が心肺停止状態となり、駆けつけた救急隊員が男性の服の下からAEDのパッドを装着した。だが別の隊員が男性のTシャツを切る際に、誤ってパッドと本体をつなぐコードも切断。予備のパッドに切り替えるまでに約3分間を要した。男性は病院に搬送されたものの2日後に死亡した。
遺族側は12年12月に「救命期待権を侵害した」などと市に550万円の損害賠償を求めて提訴。市はミスと死亡の因果関係をめぐって争ったが今年4月、地裁からの和解勧告を受け入れることにした。
この事故では、処置中のミスが現場の隊員から上司に報告されておらず、市は7カ月後に遺族から連絡があるまで把握していなかった。笠間城治郎市長は「上司への報告は義務であり、報告されるべきだった」と話した。