川崎新田ボクシングジム(川崎市多摩区)所属で東大卒・公認会計士ボクサーとして話題を呼んだ柏野晃平選手がこの春、同市幸区に自ら代表を務める公認会計士事務所「アクセル」を立ち上げ、新たな一歩を踏み出した。ボクシングも絶好調で、デビューから2連勝中。昨年末には生涯の伴侶も得て波に乗る27歳の“戦う会計士”は、「全日本新人王」を目指して走り続ける覚悟だ。
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川崎駅から約10分、ビル4階にある4畳半ほどの小さなオフィス。2個ある机の上にはパソコンや専門書、書類が所狭しと並ぶ。
「新田ジムの選手として地域のイベントに出たら、楽しくて。僕も何かしら川崎に貢献したいと思っていた」と、川崎で開業した理由を語る。
都内の税理士法人を昨年末に退職し、4月に独立。飲食業を中心に、開業予定者や成長意欲の高い中小企業経営者のサポートが専門で、現在は顧客を増やすため、日々地域を駆け回る。「始業時間も自分で決められるので自由度はあるが、責任は増えた。でもやりたいことをしているので、ストレスはない」
ボクシングも絶好調だ。昨年9月のプロデビュー戦は2ラウンドKO勝ち。階級をミニマム級に下げた先月の2戦目も判定勝ちを収めた。「自分の会社より調子が良い」と笑いながらも、「まだまだ詰めが甘い。基礎的なフィジカルをもっと鍛えたい」と前を見据える。
「体重は10日で元に戻るが、落とすのは2カ月もかかる」と話す通り、減量のきつさはある。それでも、「自分が成長しているな、伸びているなと感じるのが面白い。まだまだ強くなれると思うと楽しい」とボクシングの魅力を語る。
目標は全日本新人王。まずは夏に始まる東日本のトーナメントを勝ち抜き、東西の王者が頂点を競う聖地・後楽園ホールのリングを目指す。最終決戦が行われる12月20日は結婚1周年の記念日。「モチベーションは高い。結果を出して妻にいいプレゼントになれば」。頂点だけを見据え、目を輝かせる。