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コアジサシが回復 相模大堰直下の人工中州

社会 | 神奈川新聞 | 2015年5月22日(金) 03:00

コアジサシ(県内広域水道企業団社家取水管理事務所提供)
コアジサシ(県内広域水道企業団社家取水管理事務所提供)

 絶滅危惧種に指定されているコアジサシが、相模川中流の厚木、海老名市境にある相模大堰直下の人工中州に飛来している。一時減っていた飛来数は2年前から回復しており、川辺に俊敏な姿を見せている。

 この中州は、相模大堰を管理する県内広域水道企業団社家取水管理事務所(海老名市社家)が大堰周辺に堆積した土砂を毎冬、移動して整備している。広さ約1・4ヘクタールでコアジサシの営巣適地となり、2000年度前後は毎年400羽が飛来していた。

 同事務所によると、その後は飛来数が大幅に減少し、12年度は2羽までに落ち込んだ。営巣は10年度から3年間、ふ化は09年度から4年間なかった。

 近年の減少は猛禽(もうきん)類のトビやチョウゲンボウのほか、カラスなど天敵が増えたためとみられている。産卵後、大雨などによる増水で巣ごと流されてしまうケースも少なくないという。

 しかし、13年度は21羽、14年度が20羽と飛来数は回復傾向。ふ化したヒナは13年度18羽、14年度7羽だった。15年度は今月21日現在で18羽が確認されている。飛来が戻り始めた原因は不明という。

 コアジサシはカモメ科の小型の渡り鳥。オーストラリアなど南半球から4月に国内の砂浜や河川などに飛来、集団で繁殖して9月までにヒナと一緒に戻っていく。国内では都市開発やレジャーブームなどで営巣に適する砂礫(されき)地が減り、繁殖成功率は高くはない。

 県内の営巣地としては県西部の酒匂川も知られている。地元の小田原市が1997年に下流に保護区を設定したが、天敵の影響もあり、ここ数年は飛来数が激減している。今年も4月以降の飛来は見られないという。

 同事務所は「人工中州は堆積土砂の除去が主目的。コアジサシの生息状況の確認は、大堰建設による環境評価業務の一環としてやっている。天敵の駆除までは行っていないが、多くのヒナに巣立ってほしい」と話している。

 毎年7月に開催している施設開放のイベントでは、大堰からのコアジサシの観察会も行っている。


 
 

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