横浜市戸塚区の自宅で母親と祖母を刺殺したとして、戸塚署に殺人容疑で逮捕された県立高校1年の男子生徒(15)は、中学校の卒業文集に「私の夢はゲームクリエイターになること」と将来の目標をつづっていた。新生活を楽しんでいた姿が印象に残っている友人は、事件に衝撃を隠せないでいる。
「いつしか気付かないうちに、ゲームをするのではなく、自分の作ったゲームをしたいと思いはじめた」
文集に寄せた作文で生徒は、思いが膨らんだ経緯を説明している。友人とゲームクリエイターの講演を聴きに行って「気持ちが明確になった」というエピソードも紹介。「夢を叶(かな)えるために勉強をしているがまだまだだと思う。だけれどもあきらめないでいこうと思う」と締めくくっている。
生徒は今春、第1志望だった高校に入学した。同級生は「『授業が楽しい』と言っていて、遅刻もなかった。15日に『(18日から始まる)テストの点はどれくらい取れそう?』と聞いたら『普通にできるでしょ』と明るい感じで返された」と振り返る。
順調に歩んでいるように思えただけに、周囲の衝撃は大きい。中学時代からの友人は「(報道で)突発的犯行とか言われているけれど、何も考えずに行動するやつじゃない。なんでこんなことになったのか分からない」と話した。
◆「試験勉強めぐり詰問」
殺人容疑で逮捕された男子生徒が、戸塚署の調べに「試験勉強をするよう、連日しつこく言われてかっとなった」と供述していることが20日、捜査関係者への取材で分かった。事件当日の18日は中間試験の初日で、同署は登校直前に2人を衝動的に刺したとみて調べている。
同署によると、男子生徒は制服姿で2人を刺した際に返り血を浴びたため、私服に着替えて自首した。「気がついたら刺していた」とも話しているという。
同署の司法解剖によると、2人の遺体にはともに10カ所前後の刺し傷や切り傷があり、一部は心臓まで達していた。死因はいずれも失血死。母親の腕に身を守ろうとした傷痕があったが、祖母にはなく、同署は即死だったとみている。