過激派が在日米陸軍と陸上自衛隊が共同利用するキャンプ座間(座間、相模原市)を狙って飛行弾を発射したとされるテロ事件から2週間が経過した。発射されたとみられる2発のうち1発は現在も発見されておらず、住民には不安が残る。その上、犯行声明から集団的自衛権の行使容認への批判などが動機とみられ、15日に安全保障法制の関連法案が国会提出されたこともあり、座間署はパトロールを強化し、情報提供を呼び掛けている。
同署などによると、4月28日午前0時35分ごろ、座間市座間2丁目の畑で3回爆発音が発生。発射装置とみられる2本の鉄パイプ(長さ約105センチ、直径約6センチ)がキャンプ座間に向けられ、土に刺さっていた状態で発見された。3回の爆発のうち1回は時限発射装置の自爆音で、弾は2発が発射されたとみられる。
飛行弾とみられる金属製の円筒は、パイプが見つかった畑の北東約530メートルの同市入谷1丁目の住宅街にある畑で発見された。キャンプ座間までは約270メートルの地点で、ロケットのような形をしており、長さは25~30センチ。火薬などは入っていなかったが、わずか1メートルほどの所に住宅があった。人や住宅への被害が出なかったことについて、同署幹部は「畑に落ちたのはまったくの偶然」と胸をなで下ろす。
犯行について、今月4日に過激派の「革労協反主流派」から都内の報道機関に声明文が届いたことが明らかになった。集団的自衛権の行使容認や、首相訪米などを批判する内容だったという。近年の過激派によるキャンプ座間を狙った飛行弾の発射事件は、1993年、2002年、07年にも発生。いずれも日米同盟強化や要人の往来などのタイミングで、今回も安倍晋三首相が訪米中だった。いずれも容疑者は検挙されていない。
飛行弾とみられる円筒が見つかった畑のそばに住む主婦(86)は「まだ1発が見つかっていない。面白がって子どもが触ったら危険だ。早く見つけてほしい」と話す。その上で、「弾が人に当たったら、どうするのか。犯人は何か訴えたいことがあるのなら、平和的なやり方を取るべきだ」と話した。
同署は自治会などを通じて、事件への情報提供を求めている。また、15日に政府が安全保障法制の関連11法案を国会提出したことを受け、新たなテロを未然に防ごうと、パトロールの人員と回数を増やし、警戒態勢を強化した。