箱根山(箱根町)の大涌谷周辺で続く活発な火山活動で、県温泉地学研究所が観測した微小な火山性地震は11日、合計で2千回を超えた。夕方から急増した10日だけで327回を数え、一連の活動で最多となった。11日も午後7時現在で176回起きており、温地研は警戒を強めている。
また、国土地理院は同日、宇宙航空研究開発機構の衛星が捉えた観測データを解析した結果、大涌谷斜面の一部が最大で8センチ隆起する地殻変動が見られたと発表。7日に確認された6センチの隆起地点からは50メートルほど離れており、同日以降にさらに浅い場所が膨張した可能性があるとみている。
5段階の噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)が継続している。立ち入り規制が続く大涌谷周辺では引き続き小規模な噴火の恐れがあるとして、気象庁は噴石や火山灰に注意するよう呼び掛けている。
温地研によると、地震活動は10日夕から一段と激しくなり、11日未明にかけて多発した。この間、大涌谷や付近の二ノ平、仙石原で震度1~3相当の揺れを14回観測。火山活動が活発化した4月26日以降の地震総数は2千回を超え、さらに増加している。
温地研より地震計の少ない気象庁の観測でも10日は266回を数え、1日の回数としてはデータがある2001年以降で最多。同日は今回の活動で最大規模となるマグニチュード(M)3・0の地震もあり、箱根山の麓の湯本で震度1~2の揺れを6回観測した。
大涌谷斜面の温泉供給施設からの蒸気の激しい噴出や山体の膨張を示す地殻変動は11日も引き続き観測されている。