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【法廷から】Xマスイブの高級ブランド店で

社会 | 神奈川新聞 | 2015年4月23日(木) 00:00

 デパートで高級ブランド品などを万引きしたとして、横浜市の衣料品販売店従業員の女(31)が今年2月、窃盗容疑で県警に逮捕された。女が公判で語ったこととは―。

 街が華やかに彩られた2014年のクリスマスイブ。31歳の女は高級ブランド店にいた。彼氏へのプレゼントを買うために。しかし、高級品の数々を前に生じた思い。プレゼントを買う一方で、店から持ち出したのは「防犯ブザー解除装置」だった。

 横浜地裁で22日に開かれた初公判。窃盗の罪に問われた女は、目に涙を浮かべ、何度も繰り返した。「身勝手でした」。

 検察側の冒頭陳述や被告人質問から事件をたどっていく。

 女は12月24日午後、そごう横浜店にいた。店内で品定めしていたとき、従業員が商品につけた防犯タグを外す解除装置を使用するのを見た。「これがあれば後で他の物を盗めるかもしれない」。彼氏用の約4万円のマフラーを購入。その際、防犯ブザー解除装置をコートのポケットに忍ばせた。

 いったん帰宅。なぜか洋服を着替え、また同じ店へ。今度は「彼氏へのサプライズ」でベルト(約4万円)を買うため。さらに店内に吊されていたイヤーマフラー(約4万円)を「自分用」にと盗んだ。防犯ブザー解除装置はコートを着替えていたため持っていなかった。

 ベルトを買おうとしたら、お金が足りなかったため、自宅に戻った後、再び来店し購入。そのときにはストール(約7万5千円)を盗んだ。

 女は1人暮らし。衣料品販売店で働いていた。月収は16万円前後。「生活を無理してでもプレゼントしたいと思った」。

 彼氏に贈った品(計約8万円)は自腹。自分用に盗んだ品の被害額は約15万円に及んだ。「(商品が)かわいかった。人によく見られたいと思った」。消え入りそうな声で謝罪を繰り返した。

 検察側は論告で「手慣れていて悪質」として懲役2年を求刑した。弁護側は執行猶予付き判決を求めた。

 裁判官に問われると、女はハンカチを目に押し当てて、言った。

 「これからは『一に子ども、二に子ども、三に家族』という決意で生活する。自分を含めて、子どもたちを正しい道に導いていけるように」

 
 

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