
野毛大道芸とヨコハマ大道芸の事務局を務め、横浜の風物詩として大道芸の普及に貢献した新村輝昭さん(73)が18日午前5時55分、胆のうがんのため亡くなった。くしくも横浜・みなとみらい21(MM21)地区などでヨコハマ大道芸が始まった日の早朝、迎えた10周年の節目を見届けるように息を引き取った。
東京都出身で成蹊大卒。自動車、玩具業界を経て2000年に野毛大道芸実行委員会入り。野毛大道芸が活動を野毛地区に限るとの方針を定めた06年には、同地区以外で大道芸を催すために誕生したヨコハマ大道芸実行委事務局長に就任した。
大道芸の世界にいざなったのは、二つの大道芸のプロデューサーを務める福田豊さん(74)。ヨット仲間で大学の先輩でもある福田さんは「来る者は拒まず、去る者は追わず。まじめな性格で大道芸人を支えてくれた」と功績をたたえた。
大道芸人の派遣や興行を行う有限会社「ヨコハマ大道芸」を設立し、定期的に開催することで大道芸人が横浜で生計を立てられる環境づくりに尽力した。
ヨコハマ大道芸実行委員長の今井大さん(69)は「吉田町やイセザキ・モール、MM21地区、石川町と会場の拡大に力を注ぎ、地域の活性化に尽してくれた」と惜しむ。
生前「(ヨコハマ大道芸として)10年間はきちんとやろう」と語っていた新村さんのもう一つの願いは「野毛とヨコハマは、いつか一緒に」。大道芸を愛し、野毛を、ヨコハマを愛した故人をしのび、福田さんと今井さんは「来年こそ一体的にやりたい」と口をそろえた。
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通夜は22日午後6時から、告別式は23日午前11時から、鎌倉市御成町3の5、カドキホールで。喪主は妻英子(えいこ)さん。