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郷土の英雄「生きた証し」 土肥実平の「花押」入手

社会 | 神奈川新聞 | 2015年3月26日(木) 03:00

土肥実平の花押が入った文書を示す加藤さん(右)と深澤会長=湯河原町の城願寺
土肥実平の花押が入った文書を示す加藤さん(右)と深澤会長=湯河原町の城願寺

 源頼朝の旗揚げを助け、鎌倉幕府創設に尽力した湯河原町ゆかりの武将・土肥実平の「花押」(印鑑代わりのサイン)が記された古文書2点の複製を、実平を顕彰する町民らの会「土肥会」(深澤昌光会長)が入手した。ともに原本は出雲大社(島根県出雲市)宮司家の千家尊祐さんの個人蔵で、調査や交渉に奔走した同会理事の加藤雅喜さん(66)は「直筆の文字は実平が確かに生きていた証し」と、貴重な史料の価値を力説していた。

 「ここにサインをしたときの実平は、きっと頼朝から重要な役職を任されてドキドキしていたのでしょう」。加藤さんは慈しむように、1184年に記された1通目の花押部分に目線を落とした。「それに比べ、(2年後に作製された)2通目のサインは、筆遣いが比較的こなれている。任務に自信を持てるようになった証拠かもしれませんね」

 複写はともに実物の写真で、1通目は実平が備前・備中・備後(現在の岡山県など)の治安維持を頼朝から命じられたことを出雲大社に伝えるもの。1186年発行の2通目は、出雲大社の神主を任命する内容となっている。ともに本文部分は祐筆(書記)が書き、実平の自筆部分は花押だけとみられる。

 加藤さんは高校の社会科教諭を定年退職したのを機に湯河原に移り住み、3年ほど前に地域で親しまれている実平に興味を持った。銅像や石碑など、町内の実平ゆかりの場所を歩くうち、「実平が生きていた当時の史料が湯河原には何も残されていない」ということに気が付いた。

 「実平が(架空の人物ではなく)確かに生きていたという証拠を後世に伝えたい」と加藤さんは奮起。都内にある母校の大学図書館で文献を読みあさり、出雲大社の宮司家に実平自筆の古文書が現存していることを突き止めた。出雲大社に何度も手紙を送って交渉、ついに今年2月末に複製の入手がかなった。

 花押は5月24日に町内で開かれる歴史講演会で町民に披露される予定。加藤さんは「800年以上も前に実平が触れた文書を、いまこうして私たちが同じように見ることができる。これは本当にすごいこと。郷土の英雄の実史料として、後世にわたり町民の誇りになるものと確信している」と話している。

 歴史講演会「ここまでわかった土肥実平とその一族」は、午前10時から町立図書館(同町土肥1丁目)で開かれる。申し込み不要で参加無料。

【神奈川新聞】


1186年の文書に記された花押。これ以降の花押はなく、没年不明の実平に関する最後の現存する肉筆史料とも言える(第84代出雲國造、出雲大社宮司千家尊祐さん提供)
1186年の文書に記された花押。これ以降の花押はなく、没年不明の実平に関する最後の現存する肉筆史料とも言える(第84代出雲國造、出雲大社宮司千家尊祐さん提供)

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