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波紋 安保法制<3>隊員の安全どう確保 自衛隊任務拡大

社会 | 神奈川新聞 | 2015年3月21日(土) 03:00

昨秋の日米統合演習に参加する日米の艦船(米海軍提供)
昨秋の日米統合演習に参加する日米の艦船(米海軍提供)

 新たな安全保障法制整備の骨格を定めた共同文書が20日、自民、公明両党の与党協議会で正式に合意された。集団的自衛権の行使容認や他国軍への後方支援など、自衛隊任務を大幅に拡大する方向性が盛り込まれたことに、複雑な思いを抱く自衛官や家族、関係者も少なくない。

 「娘が自分の目で選んだ人の仕事をうんぬんしたくない。でも娘の将来に関わると思うと、彼には危険な仕事に携わってほしくないと思ってしまう」

 県内在住の50代の女性は昨年暮れ、自衛官と交際中の娘から、結婚に踏み出せないでいることを打ち明けられた。

 「自衛隊を辞められるなら、辞めてほしい」-。母としての本音だ。

 湾岸戦争後のペルシャ湾掃海艇派遣、米中枢同時テロ後のテロ対策特措法に基づくインド洋での給油支援などを経て、現在は海賊対処法に基づいたソマリア沖での監視任務が続く。

 海外任務中の護衛艦では、幹部が乗員たちの心身の管理に心を砕いていた。「わずかな体調の変化も、自覚したらすぐ知らせるように伝えていた」。長期にわたる海外任務の経験が蓄積されていることの表れといえる。

 海自護衛艦の乗員でもある夫を持つ40代の女性は、インド洋での給油支援活動に従事した夫と1カ月以上も連絡が取れなかった。

 法制整備により、今後予想される任務の拡大-。女性は「そのときにならないと分からない」。再び派遣されることになれば、涙をのんで「行ってらっしゃい」と言うことにしている。とはいえ、「漠然と『大丈夫』と思い込んでいないと、気持ちが持たない」のが正直な気持ちだ。

 家庭では職場の話をしない夫。だが、安保法制整備への動きを伝えるニュースには、こうつぶやいていた。「これからは隊員のなり手が減るだろう」

 今回の与党協議の合意では自衛隊の海外活動をめぐり(1)国際法上の正当性(2)国民の理解が得られるよう民主的統制を適切に確保する(3)自衛隊員の安全確保に必要な措置を定める-の3点を確立するとした。

 とりわけ自衛隊員の安全確保は、与党協議や両党内の会議でも、たびたび議論に上っている。過激派組織「イスラム国」による邦人人質殺害事件を受け、在外邦人の救出も議論の対象となっていたためだ。

 在外邦人救出については、政府は「邦人や隊員の安全確保の見通しが立つことが前提」と強調する。しかし、自民党の会議では「安全性を強調しすぎると実際の活動ができなくなる」との不満が漏れているのも実情だ。

 自衛隊の役割拡大に積極的な政府・自民党と、多くの歯止めをかけたい公明党が綱引きを続ける構図は、与党協議で一貫して変わらなかった。

 ただ、「こちらが押し切ったような形に見られている」「『前のめりになっている』と批判を受けた」と、世論に神経をとがらせる意見は自民党内からも相次いでおり、今後の法制化で丁寧な説明を求める声は今後も上がりそうだ。

派遣の要件、今後の論点に

 今回の与党協議では、自衛隊の海外での活動が大きな論点の一つとなった。人道復興支援などを行う国際平和協力活動では、派遣の要件をめぐって結論を先送りした項目もあり、将来的な任務拡大の余地は不透明なままだ。

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