県央愛川農業協同組合(愛川町中津、斉藤栄一組合長)で幹部職員による不適切な融資が行われていたことが9日までに判明した。
同組合によると、問題視された融資は2010年7月から12年6月までの間、60代の准組合員の女性に対して住宅リフォーム、事業資金、土地購入の名目で計5回にわたって総額約4100万円実施された。
この女性と同居する夫が数年前、同組合から多額の融資を受けたものの、返済が遅れて回収不能になっていた。当時、融資の決裁権者だった常務理事と担当の信用共済部長の2人は、女性と夫が家族で、実質的に同一の債務者との疑いがあるにもかかわらず、内規に違反して本人の収入証明書など必要な資料を求めず、十分な確認をしないまま、融資を続けたという。
13年10月、上部機関のJA全中の定期監査で融資の問題点が指摘され、内部調査で手続きの不備が発覚した。同組合では14年10月、第三者を入れた調査委員会を設置。回収が滞っている約3800万円に関する損害賠償協議や関係者の処分、再発防止策の検討を進めている。当事者夫婦も返済の意向を示しており、話し合いを続けている。
常務理事は13年5月に任期満了で退任、信用共済部長は14年12月に辞職した。調査に対して2人は「同一の債務者との認識はなかった」などとミスを認め、損害賠償にも応じる申し出をしているという。
同組合は正組合員1295人、准組合員3743人。調査委の中間報告を受けて、2月26日から組合員向けの説明会を行っている。
【神奈川新聞】