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日本語不自由な外国人児童が増加 早急な態勢整備が急務

社会 | 神奈川新聞 | 2015年2月12日(木) 11:00

ものの値段を例に「安い」「高い」という言葉を教わる中国人生徒=横浜吉田中学校国際教室
ものの値段を例に「安い」「高い」という言葉を教わる中国人生徒=横浜吉田中学校国際教室

横浜市の中心部で外国人の子どもが増え続けている。親たちが働く飲食店などが集まる中区や南区の小中学校では外国にルーツを持つ子どもが半数を占めるケースも。多くは日本語指導を必要としているものの、特別なカリキュラムがあるわけではなく、放課後の補習などで対応している。それも行政や地域の協力に支えられているのが実情で、現場からは日本語を教える仕組みを早急に整えるよう求める声が上がる。

繁華街の外れに位置する市立南吉田小学校は全校児童662人のうち、外国人児童が309人を数え、割合は全体の47%に上る(1月5日現在)。

藤本哲夫校長は「市教育委員会も地域も支援してくれている。それでも担任の負担はカバーしきれない」と困惑を隠さない。

中国を中心に韓国、フィリピンなどアジアにルーツを持つ子が大半で、親が先に来日し、生活が安定した後に子どもを呼び寄せるケースが多い。中国で学年の区切りである夏休み明けをピークに年間を通して編入してくる。昨年4月から1月末までに50人が新たに加わった。

来日したての子どもは日本語がまったく話せない場合が多く、一から言語指導が必要だ。日常会話が話せても授業で使う「学習言語」が分からなければやはり支援がいる。

国の制度では、外国籍の子どもが5人以上いる学校には教師が1人、20人以上に2人が加配され、それぞれ国際教室を置くことができる。だが、支援のための制度はこれだけで、日本籍でも支援が必要な子どもがいるという現実も考慮されていない。

こうした現状に市教委は日本語指導教員の派遣や日本語教室の開催など独自事業で学校を支える。中、南区でも国際交流ラウンジや地域のNPO法人などが補習教室や相談活動などを通して子どもや保護者を支援する。

だが、日本人と同水準の教育環境にあるとは言い難い。藤本校長は「教員の数が圧倒的に足りていない。経済のグローバル化が進めば外国人がより多く来日するようになる。何らかの手だてが必要だ」と訴える。

高校受験を控える中学校では問題はより深刻だ。

伊勢佐木町のほど近く、中区の横浜吉田中学校は全校生徒403人に対して外国人は154人で、割合は38%(1月13日現在)。本年度はこれまでに27人が編入し、3年生の夏休みから通い始めた生徒もいる。高校を卒業しなければ将来、安定した職に就くことは難しいが、外国人生徒は十分な日本語指導や学習指導が受けられず、受験の段階で大きなハンディを背負っている。

「それでも外国人が多い学校は市教委や地域の支援が整えられつつあり、まだましだ」と出川進校長は話す。現在は限られた地域に集住しているが、より安価な家賃を求めるなどして住む地域が広がるドーナツ化現象も予想される。出川校長は「ノウハウを持たない学校に外国人の子どもが通う可能性がある。この先、外国人が減る要素はなく、みな永住志向でもある。学校に通う前に基礎を身に付ける初期指導、プレのようなものが必要ではないか」と指摘している。

【神奈川新聞】

 
 

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