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武蔵小杉駅エスカレーター逆走事故 点検業者5人を書類送検

社会 | 神奈川新聞 | 2015年2月10日(火) 03:00

エスカレーターの構造
エスカレーターの構造

 川崎市中原区小杉町3丁目の武蔵小杉駅構内で昨年1月、上りエスカレーターが急停止して逆走、利用客ら11人が重軽傷を負った事故で、県警捜査1課と中原署は9日、業務上過失傷害の疑いで、このエスカレーターの保守点検を担当していた「三菱電機ビルテクノサービス」(東京都荒川区)に勤務する24~59歳の男性社員5人を書類送検した。金属くずなどが詰まり、逆走を防止する安全装置のストッパーが正常に動かなかった。

 書類送検容疑は、昨年1月8日午前8時20分ごろ、定期検査などでエレベーターを動かす「駆動チェーン」の緩みなどを把握しながら必要な保守点検業務を怠り、駆動チェーンの切断や安全装置の故障を引き起こし、男女計11人に右足骨折などの重軽傷を負わせた、としている。同課によると、当時、5人は同社川崎営業所(川崎市川崎区)などに所属しており、全員が容疑を認めている。

 現場は、東急線とJR南武線を結ぶ連絡通路に設置された長さ約15メートル、幅約1メートルの上りエスカレーター。急停止後に逆走し、乗っていた20~80代の利用客ら11人が将棋倒しになり、けがを負った。

緩みを10カ月放置




 武蔵小杉駅(川崎市中原区小杉町3丁目)の連絡通路で昨年1月、エスカレーターが急停止して逆走し、利用客ら11人が重軽傷を負った事故。県警に業務上過失傷害の疑いで書類送検された保守点検を請け負っていた「三菱電機ビルテクノサービス」(東京都荒川区)の社員らは、エスカレーターを動かす「駆動チェーン」の緩みが自社の安全基準を満たしていないのを把握しながら、少なくとも10カ月間放置していた。県警は長期間の放置が金属疲労による駆動チェーンの切断を招いたとみており、同社の点検業務のずさんさが浮き彫りになった。

 県警捜査1課によると、同社の担当者が駆動チェーンの緩みを把握したのは、事故の10カ月前の2013年3月8日に実施した年1回の定期検査。駆動チェーンの緩みを計測したところ、同社の基準値(2・5~5ミリ)を上回る約8ミリの緩みを確認した。だが、その場で修理したり、担当者に引き継いだりせず、そのまま放置。月2回の定期点検でも対応せず、報告書を受け取った上司も改善を指示しなかった。

 事故の5日前の14年1月3日朝には、駆動チェーンの緩みによる揺れで安全装置が作動し、エスカレーターが緊急停止した。対応した別の担当者は緩みを直さず、逆にわずかな揺れを感知して停止しないよう安全装置の感度を鈍らせる調整をした。

 捜査幹部によると、この担当者は調べに対し「今までチェーンが切れたことはなく、定期点検が近かったので安易に放置してしまった」「(安全装置の感度を鈍らせたのは)すぐにエスカレーターを復旧させなければいけないと焦ってしまった」などと説明している。

 事故当時、駆動チェーンが切断した際に逆走を防ぐストッパーは周囲に金属くずや油などが詰まり、正常に動かない状態だった。本来、定期点検では実際に手で動かして確認することになっていた。

 同社は「心よりおわびする。社員が書類送検されたことを重く受け止め、引き続き、再発防止に向けた取り組みに全力を挙げていく」とコメントした。

武蔵小杉駅構内上り エスカレーター事故の経過
【2013年】
3月8日 年1回の定期点検で三菱電機ビルテクノサービスの社員が、自社基準を上回るチェーンの緩みを発見。その後、月2回の定期点検でも対処せず

【2014年】
1月 3日 早朝の運転開始時に緊急停止。同社の社員は修理せず、安全装置の揺れ感知レベルを甘く設定

1月 8日 午前8時20分ごろ、急停止後に下降し、乗っていた20~80代の男女11人が重軽傷

1月9日 川崎市は市管理のエスカレーターのうち、当時稼働していた34基の緊急点検を開始

1月 10日 国土交通省の調査で、エスカレーターを動かす駆動チェーンが切れ、逆走を防ぐ安全装置も働いていなかったことが判明

1月 11日 川崎市が1月3日の緊急停止事例を発表

1月16日 川崎市が緊急点検した34基に異常はなかったと発表

5月20日 事故機の駆動チェーンなどを新品に交換し、運転を再開

【2015年】
2月9日 県警が業務上過失傷害容疑で同社の社員5人を書類送検

 
 

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