川崎市内の造園工事をめぐり、入札情報を業者に漏らしたとして、県警捜査2課と宮前署は8日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで、市建設緑政局技術監理課の職員の男(38)=多摩区=を逮捕した。
また、入札に参加した同市宮前区の造園工事会社「川崎工苑建設」取締役の男(50)=高津区=を同入札妨害容疑で逮捕した。県警はいずれの認否も明らかにしていない。
逮捕容疑は、2013年7月ごろ、川崎市が発注した公園整備工事の一般競争入札で、職員の男が予定価格に関する入札情報を漏らした上、共謀して入札を妨害した、としている。
県警によると、職員の男は当時、公園緑地課に所属し、入札情報を知り得る立場にあった。取締役の男は工事部次長として、工事の積算や見積もりを担当していた。
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川崎市発注工事で入札情報を業者に漏らしたとして市職員が逮捕されたことを受け、川崎市は8日夜、市役所で緊急会見を開き、市建設緑政局の吉田孝司総務部長は「公務員としてあるまじきことで、市の信用を著しく失墜させるもの。市民の信頼を裏切ったことに、深くおわび申し上げます」と謝罪した。
職員の男は2004年4月に造園職として入庁し、環境局北部公園事務所などに勤務。入札情報を漏らしたとされる13年7月ごろに所属していた建設緑政局公園緑地課では、公園整備工事などの設計・積算を担当していたほか、他課の発注工事で審査を担当していた。
市は会見で、逮捕容疑の市発注工事がどの工事かは判明していないと説明。当時の上司だったみどりの保全整備課の小川忠幸課長は「まじめで仕事一途。バリアフリー化など公園を良くしようという気持ちが強い職員だった」と困惑気味に話した。
福田紀彦市長は「入札の公平性に疑問を持たれるような事件が起き、大変残念。事実関係を確認次第、厳正に対処するとともに再発防止に取り組む」とのコメントを出した。
【神奈川新聞】