主に民有地の崖の危険度を把握して改善につなげようと、横須賀市は4月から、崖崩れなどの際に住民らの命に危険が及ぶ恐れがある「土砂災害警戒区域」内の崖地を対象にした調査を始める。4段階に分類し、最も危険度の高い崖地については、所有者に改善を促していく。2024年度までの10年間をかけて調査し、その後も10年周期で同じ場所を調べる方針。
横浜や広島、横須賀市など昨年、全国的に土砂災害が相次いだ事態を受けての対応。
対象となる崖地は4790カ所で、いずれも高さ5メートル以上、傾斜角30度以上。
市傾斜地保全課の職員4人が目視で、高さや傾斜角、崖面のひび割れや湧き水の有無、崖地周辺の人家の分布状況など約20項目を調べる。危険度を点数化し、A(対策が必要)、B(経過観察が必要)、C(当面は防災上問題なし)、D(対策不要)の危険度に分ける。
最も危険度が高いA判定の崖地については、所有者に対し、市が設ける崖地対策のための助成制度や、周辺の家の数など一定の条件を満たせば県による工事が行われる事業を案内する。
D判定は、すでに防災工事などが施されている場合となるが、一度、対策不要と判断されても継続して安全性が保たれているかどうか調査を続ける。
年間約400~500カ所のペースで危険度判定を行うとしている。同課は「(A判定の崖地の所有者には)直接話をして危険だということを承知してもらい改善を促し、対策方法の相談にも乗りたい。崖地対策の機運を高めたい」と話している。
同課によると昨年4月から12月末にかけて崖地の対策など崖地にかかわる市民からの問い合わせは約260件で、過去数年の同時期と比べても多かった。
崖地の危険度判定のための調査は県内では横浜市が昨年6月から実施している。
【神奈川新聞】