厚木市は3日、東京湾を震源としたマグニチュード(M)7・3の地震で交通機関が停止したと想定し、帰宅困難者の避難訓練を実施した。同市の「自閉症児・者親の会」など住民約100人が参加、訓練を通じて自閉症の人が非日常の状況を体験し災害に備え、市職員が対応を確認するのが目的。
自閉症の人が組織として防災訓練に参加するのは同市では初めて。同会は市と準備を重ね、変化になじめずコミュニケーションが苦手な特徴がある自閉症の人の支援には、穏やかな口調で簡潔に指示することが必要なことなどを伝えていた。
訓練では、小田急線本厚木駅から避難所に指定された商業施設に市職員の誘導で移動。商業施設には自閉症の人が混乱しないよう専用の部屋も用意された。
長男(21)と参加した女性(56)は「避難開始まで『少しお待ちください』という指示が多かった。自閉症の人には具体的な数字を示した方が理解しやすい。自閉症の人の参加を促して行政や一般の方に支援方法を知ってもらいたい」と話した。
日本自閉症協会(東京)が2011年12月、東日本大震災で被災した自閉症の人やその親らを対象に調査した結果、防災訓練に参加したことがない人が半数に上った。協会は防災ハンドブックを作り、自治体に配布したが、自閉症は障害の程度に個人差が大きく、防災訓練への参加は進んでいないのが現状という。
【神奈川新聞】