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【社説】経緯検証し対策構築を、人質殺害映像

社会 | 神奈川新聞 | 2015年2月2日(月) 11:06

過激派「イスラム国」を名乗るグループに拘束されていた後藤健二さんが殺害されたとみられる映像声明がインターネット上で公開された。

政府は人命第一とテロに屈しないことを命題に国際社会と連携し対応してきたが、湯川遥菜さんの件も含め最悪の事態に至った可能性が高いと捉えざるを得ない。今後も日本を標的にするとの声明は恐怖心をあおり、有志連合にくさびを打ち込むための卑劣な扇動といえよう。

政府は人質が拘束され身代金要求に至るまでの経緯や組織の政治的、軍事的な側面を検証し、海外邦人の安全確保などテロ行為への対策構築を急ぐべきだ。一方で、政府首脳は人質事件と安保法制整備は別問題との認識を示した。憲法9条との整合性などから妥当な判断といえよう。

蛮行は対米協調を揺さぶり、組織の存在や主張を誇示する狙いだったことが濃厚だ。誘拐により人命を盾に無理難題を吹っかけ、複数の関係国を巻き込んでいく交渉術にどのように立ち向かっていくのか。

安倍晋三首相は食糧、医療など人道支援をさらに拡充する考えを強調した。中東の安定、貧困などテロの温床解消のために平和外交、関係国との共同歩調は堅持すべきである。

ただし、日本政府の目的を曲解してみせるなど、国際社会の普遍的価値観を全否定する組織である。独善性と計算高さを併せ持つ特性を十分に考慮していく必要があろう。日本はシリアの大使館を一時閉鎖しており、直接的な交渉ルートの不在も浮かび上がった。

イスラム国は原油安による資金難や戦闘員の離反も指摘されている。米国は有志連合による空爆の効果を強調。組織の弱体化に自信をのぞかせているが、戦闘の長期化は避けられない見通しだ。

国際的な包囲網による資金源の遮断は言うまでもない。ソーシャル・ネットワークを巧妙に利用したプロパガンダの封じ込めなど、多様な対応策を集結させる必要があろう。

欧米の若者が戦闘員として過激派に加わり、帰国後、自国でテロ行為を起こす危険性も念頭に置くべきである。組織の裾野拡大がどのように生じてきたのか。さまざまな角度からの分析が急がれよう。

何より重要なのはシリアの内戦を終結へ導き秩序を回復することである。新たな中東和平の実現という課題が重みを増す局面と認識したい。

【神奈川新聞】

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