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【照明灯】ハマの市民酒場

社会 | 神奈川新聞 | 2015年1月31日(土) 09:23

戦況が悪化の一途をたどる中であっても、横浜の花柳界では軍需企業や高級将校の一部が持ち込みの酒で豪遊することがあった。一方、市民は1合(180ミリリットル)の酒にひとときの癒やしを求め、酒場に列を成した

▼「横浜・中区史」によると、酒の配給が逼迫(ひっぱく)したことを受け、行政によって「市民酒場」構想が立てられた。飲食店や酒販店を統合し、1店当たりの供給量を増やす狙いだった。1944年10月に営業が始まると、伊勢佐木町の店舗では用意した分を6分間で売り尽くしたとある

▼数が減ったとはいえ、今でも「市民酒場」を名乗る飲食店が横浜市内に残っている。以前、西区の老舗で歴史の一端をうかがったことがあるが、飲んべえの間では知る人ぞ知る情報だった

▼「市民酒場」に光を当てた星山健太郎さん、希さん夫妻が編集する雑誌「はま太郎」が先ごろ、小紙で紹介された。「できるだけ安く、おいしいものを」という精神が脈々と受け継がれてきた歴史や魅力を伝えたいと抱負を語っている

▼京浜工業地帯で働く人々の活力源だった古き良き酒場が、高齢化や後継者不足で減少している。和みの空間が消えると、人が醸した空気まで失われる。その寂しさはノスタルジーとばかり言えないのではないか。

【神奈川新聞】

 
 

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