
子どもたちが仮想の町で働いたり、稼いだお金でモノを買ったりするイベント「子どもがつくる町 ミニたまゆり」が2月7、8日、田園調布学園大学(川崎市麻生区東百合丘)で開かれる。学生の教育を目的に始まり、今年で10周年を迎える人気企画。子どもたちが模擬体験を通じて仕事や町づくりへの興味を膨らませる貴重な機会として、地域に定着している。
銀行や税務署、飲食店、ビューティーサロン…。裁判や市議会まで開かれる小さな“町”。市民登録した子どもたちが職業案内所で仕事を探すところからスタート。銀行で給料を受け取って税金を納めると、仮想通貨「ユリー」を使って遊んだり食べたりできる。
開催前には「子ども会議」が開かれ、小学生が新しい町のルールやお店の考案、会場の飾り付けといった準備を進める。“市長選挙”も行われ、ミニたまゆりの市長を選出。昨年は見学に訪れた福田紀彦市長に「川崎を良くするためにどんなことをしているの」といった質問を投げ掛けた。
「どうしたらモノが売れ、お客さんに満足してもらえるか。責任を負って誰かを喜ばせるという経験をする機会はあまりない。だから楽しいのだろう」。ミニたまゆりを担当する同大の番匠(ばんしょう)一雅准教授は、子どもたちが働く喜びを実感し、地域への愛着も生まれていると語る。
福祉や保育を学ぶ学生向けの教育の場として2005年に始まり、学生でつくる実行委員会が企画運営を担う。学生の地域貢献やボランティア実習の一環だったが、地域の子どもたちの成長の場にもなっている。
実行委員長の稲葉遼(はるか)さん(20)=同大2年=は「ミニたまゆりに来た子が次の年に子ども会議に参加してどんどん意見を出してくれるのを見ると、成長を感じます」と目を細める。
一昨年は2日間で延べ3300人が参加。今後は同じようなイベントをベトナムで開く計画もあるという。番匠准教授は「『ミニたまゆりモデル』としてノウハウを広く伝えていきたいし、このイベントの効果を検証していきたい」と話している。
両日とも午前10時~午後4時。5~15歳で参加費300円と申し込み(2月2日まで)が必要。問い合わせは、同大地域交流センター電話044(966)2780。
【神奈川新聞】
