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相次ぐネット炎上 企業どう向き合う?

社会 | 神奈川新聞 | 2015年1月26日(月) 13:30

炎上対策を経営のリスクマネジメントの一つとして重視するよう促す藤井弁護士=横浜市中区
炎上対策を経営のリスクマネジメントの一つとして重視するよう促す藤井弁護士=横浜市中区

昨年末から相次ぎ発覚した食品の異物混入問題で、企業の対応をめぐってインターネット上の「炎上」が続く。不祥事やその疑いのある事案の発覚をきっかけに、非難や中傷が殺到したとき、企業はどう向き合えばいいのか。あるいは、炎上を予防する手だてはあるのか。炎上対策で企業への助言や社員研修などに当たる藤井総弁護士(31)に聞いた。

■リスク

記憶に新しいのが、カップやきそば「ペヤング」を製造・販売するまるか食品(群馬県伊勢崎市)だ。ツイッターで昨年12月、商品への虫の混入が指摘され、対応のまずさもあって炎上した。

〈二度と食べません。さようなら〉〈おわりのはじまり〉〈マジで潰すしかないだろこの会社〉-。

後に4万6千個に及ぶ自主回収や関連商品の製造・販売の3カ月近い休止も決めたが騒ぎは収まらず、経緯を網羅した「まとめサイト」も続々と作成された。

炎上のリスクを企業はもっと認識すべき。何年もかけて得た企業の信頼を一瞬で失うだけでなく、ネット上にネガティブな書き込みや誤解が半永久的に残る。それが何年先も検索にかかり、新規の取引先開拓や採用活動を難しくしたりもする

かつての炎上は、掲示板サイトの限られた空間や個人ブログのコメント欄で起きていた。ツイッターなど速報・周知性の高いソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の浸透や、閲覧性に優れたスマートフォンの普及で対象や規模が急拡大してきた。

誰もが簡単に情報発信できるようになり、炎上は全方位で起こりやすくなった。社名や製品名とともに疑惑や悪評が投稿され、企業側が把握していないだけで、常に“プチ炎上”は起きていると考えるべき。それほどリスクは身近にある

会社としてホームページを開設していない、経営者がSNSにうとい、といっても無関係ではいられない。ネットでつながりを持った人々が、「電凸(でんとつ)」と呼ばれる行動で当該企業や取引先にクレーム電話を殺到させる事例も増えたという。

■火消し

では炎上したらどんな対応が求められるか。まるか食品は、混入を指摘した個人に画像削除を求め、「製造過程での混入は考えられない」との見解を示した。こうした初期対応に典型的な誤りを見いだす。

炎上の時点で既に情報は拡散している。発端の画像や投稿の削除を求めたところで、隠蔽(いんぺい)の疑惑を持たれるだけ。NG行為だ。炎上事案の発覚当初は企業側としては否定したい心理に陥りがちだが、反論は攻撃と受け止められ、再炎上の“燃料”にもなる。反論でなく説明に徹するべきだった

好事例は、2013年にツイッターで商品に生きた幼虫の混入を指摘された食品メーカーの対応だ。投稿画像の虫の大きさから生後1カ月余りと判明し、最終出荷日が半年ほど前だった趣旨の調査結果をツイッター上のオープンな場で説明。多くの人が矛盾に気づき、騒ぎは終息した。

指摘した相手や混入の事実に直接反論するのでなく、判明した事実を淡々と説明し、多くの人に製造段階の混入が困難なことの納得感を与えた。炎上時の反論や弁明は火にガソリンをかけているのに等しく、火消しに必要なのは人々が求める説明だ

ただ、説明を誤ると手痛い目に遭う。日本マクドナルド(東京都新宿区)が取った、人の歯とみられる異物が混入していたという苦情への対応だ。異物が購入者のものである可能性を会見で問われ、「ないとは言えない」と購入者に要因があるような印象を与えた点を問題視する。

推測で発言するのは場当たり的な悪い印象を与えるだけでなく、後から違う事実が判明した場合にさらに炎上する。疑惑段階では、謝罪すべき部分と、調査が及んでいない部分を分けるべき。その上で「来週には判明します」とか建設的に補うような説明が求められた

■不寛容

藤井弁護士の顧問先でも、企業ブログに従業員が、社内で反社会的な行為をしたかのような書き込みをし、閲覧者から疑問の声が上がる“ぼや”はあったという。

投稿は削除しなかった。その上で、もともとそのブログはユーモアに富んだ投稿が多かったから、「彼は自分を大きくみせようといろいろ書きますが、決して大したことありません」と自虐的なコメントを加え乗り切った。結果、ブログのファンが味方に回り、沈静化した

そうした柔軟性も時に企業に求められる。マクドナルドの対応は社内規定に沿ったものだったが、反発を招く結果となった。

行動指針に定めた通りに現実の処理は進まない。その都度、何がベストな選択かを考え、対応するべき。マクドナルドはマニュアル通りに対応するという思考停止が今回の事態を招いたのではないか。マニュアルが時代に合わないというより、心構え程度に活用するもの

SNSの情報収集担当を社内に置くなど、炎上の事前対策も多く指南する。社名や製品名を定期的に検索にかけるだけで初動に差が出る。“火種”の情報が寄せられるとして、多様なSNSで企業の公式アカウントを持つことも推奨する。

しかし世知辛い。企業は常に炎上に気をもみ、事業活動を続けなければならないのだろうか。

藤井弁護士は言い切る。

ネットの発達で情報の透明化が進み、不自然なまでに正しさ、真っ白さが求められる“漂白”の時代となった。昔のなあなあが決して許されず不寛容が広がったともいえる。炎上はだから眼前の経営リスクと受け止めるしかない。従業員や取引先そして社業の将来を守るためにも、だ

■最近の事例と傾向は…

企業が関係する最近の炎上事例には、発端が外部指摘によるものと、会社や従業員の言動が原因のものとに大別される。

前者は、まるか食品や日本マクドナルドのほか、昨年末に都内居酒屋チェーンで利用者が過剰請求の被害をレシート画像とともに投稿した事例があった。運営会社は返金対応を決め、店は閉店に至った。

後者では昨夏、都内の古書店が万引犯とみられる男性の顔写真をネット公開するとした事例が注目された。公開はなされなかったが、プライバシーや私刑の是非をめぐり物議を醸した。飲食店で不衛生に食材を扱ったり、消費者の情報を勝手に公開したりするなど“バイトテロ”と呼ばれる従業員による不適切投稿も後を絶たない。

藤井弁護士によると、職場や取引先の不満などを従業員がSNSの私有アカウントでつぶやき、トラブルになる事例も目立ってきたという。

●ふじい・そう 顧問先はIT企業を多く抱え、会社運営や契約書・利用規約監修など企業法務全般を手掛ける。「炎上」などインターネット上のトラブルに詳しい。横浜弁護士会、横浜パートナー法律事務所(横浜市中区)所属。東京都生まれ。31歳。

【神奈川新聞】

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