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【照明灯】テロ、命が軽い世界

社会 | 神奈川新聞 | 2015年1月26日(月) 10:27

ロンドン市ケニントン地区の民生係に勤務するジョン・メイの仕事は孤独死した市民の弔いである。ウベルト・パゾリーニ監督の映画「おみおくりの作法」が静かな感動を呼んでいる▼メイは亡くなった人の写真をはじめ遺品を見つけだし、血縁者や知人を捜して連絡を取る。故人の宗教に合わせて葬儀を行う際、自ら弔辞を書き、ふさわしい音楽を選択する。しかし、大概は参列者が自分1人というのが現実だ▼こうした仕事があることを新聞で知ったパゾリーニ監督は、民生係に会って取材した。最期をみとる人のなかった故人にも人生の輝きがあった。生きるとは、死ぬとは何かという問い掛けは極めて日本的でもあり、「おくりびと」(滝田洋二郎監督)を連想させる。死生観を中心に据えた映画は深い▼「イスラム国」とみられるグループが日本人2人を人質にした事件に動きがあった。湯川遥菜さんが殺害されたとするネット上の画像について、安倍晋三首相は「信ぴょう性は高いと言わざるを得ない」と明言した▼目的の遂行のためには手段を選ばないのがテロである。人命の尊さも、死の厳粛さも認めない。憤りの言葉をぶつけても、相手が聞く耳を持たない以上は届かない。命が軽い世界に幸せを期待できようか。

【神奈川新聞】

 
 

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