小田原市は、建設から50年以上が経過し老朽化が課題となっている市立図書館(同市城内)について、閉館して小田原駅前に新たな図書館を開設することなどを盛り込んだ「市図書施設・機能整備等基本方針」案をまとめた。アクセスの良さを生かして図書館利用の拡大を図り、中心市街地の活性化にもつなげたい考えだ。
市によると、市が運営する図書施設は12カ所。このうち大規模な施設は、かもめ図書館(南鴨宮、蔵書数約21万冊)と市立図書館(蔵書数約19万冊)になる。1994年に開設されたかもめ図書館に対し、市立図書館は59年の開設で老朽化が進み、コンクリート強度は現在の耐震基準を下回っている。国指定史跡の小田原城址公園内にあるため、建て替えはできないという。
基本方針案では、新たに開設する図書館について、駅前というアクセスの良さを生かしながら、広範な資料の閲覧・貸し出し、子どもの読書活動推進など、機能面の充実を図る。
新図書館の開設場所について具体的な記述はないが、市が進める小田原駅東口お城通り地区再開発事業の広域交流施設ゾーンとして整備する施設内が有力だ。この施設は2017年度末をめどに完成予定で、図書館のほか、ホテルやコンベンション機能、商業施設などの入居が想定されている。
また、市立図書館が担っていた地域資料や文学資料の収蔵、調査研究などを行う機能を分割した施設を、旧保健所跡地(同市南町)に新設する。
市は今月13日まで実施していたパブリックコメント(市民意見の募集)の結果を踏まえて14年度中に基本方針を策定する。市文化部図書館担当は「カフェ機能の併設や電子書籍の取り扱いなど、市民の意見を踏まえて利便性の高い図書館の整備を検討していく。中心市街地のにぎわい創出にも寄与したい」と話している。
【神奈川新聞】