横浜市内の区役所に女児向けアニメ「プリキュア」シリーズのキャラクターを名乗った匿名の寄付が相次いでいる。女子中学生らが戦士に変身、悪の組織と戦う「勧善懲悪」のストーリーで、大人にもファンが多い。受け取った子どもたちは感謝の思いを寄せている。
昨年3月、神奈川区役所入り口にアンネ・フランクの伝記3冊と文房具入りの紙袋が置かれた。同封の便箋には、シリーズ9作目「スマイルプリキュア!」に登場する星空みゆきの名前で「入園・入学おめでとうございます。みなさんの毎日が笑顔でありますように」とあった。
同8、9月には西区役所にノートや消しゴム、図書カードが届く。差出人はいずれも「スマイルプリキュア!」などシリーズのキャラクターで、同9月には磯子区、神奈川区でも続いた。
アニメは2004年に放送を開始。東映アニメーションの広報担当者は「子どもだけでなく親にもファンが多い」。寄付に何度も登場する「スマイルプリキュア!」は東日本大震災後に制作され、笑顔を忘れず諦めない姿勢をテーマにしている。
神奈川区の岡田展生総務課長は「手紙の字が柔らかい。子どもの気持ちが分かる人では」と送り主を推測する。同区はNPO法人と共同で運営している地域子育て支援施設に文具を贈った。寄付と伝えると子どもたちから「うれしい」と拍手が上がったという。
11月下旬には鶴見、神奈川、港北の3区役所に3年連続でランドセルが届いた。送り主は漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」。NPO法人の塚原泉施設長は「寄付を通じ、地域に支えられていると親も実感できる」と話している。
【共同通信】