2014年に生まれた太平洋クロマグロの資源量は、00年以降最低となる見通しであることが水産総合研究センターによる30日までの調査で明らかになった。絶滅の恐れが指摘されるクロマグロの乱獲が深刻化していることを示すデータだ。
太平洋クロマグロは赤道以北の太平洋を広く回遊するが、確認されている産卵海域は、日本の南西諸島周辺と石川県から山口県沖にかけての日本海だけ。資源保護のために産卵海域での禁漁措置導入が必要だと指摘する専門家も多く、一層の対策を求める声が強まりそうだ。
南西諸島周辺で生まれたクロマグロが捕れる西日本太平洋沿岸などでの今年7~9月の漁獲量データを基にした解析結果によると、14年生まれの漁獲量は13年に比べて20%、12年の33%と低水準で、08~12年の平均値の10分の1近くまで落ち込んだ。こうしたことを理由に、南西諸島周辺で生まれたクロマグロは昨年を大幅に下回ったと推定した。
島根県隠岐諸島周辺での1日・1隻当たりの漁獲量も昨年の23%と極めて低調で、このデータを基に推定した日本海で今年生まれたクロマグロの資源量も、昨年を下回ることが確実となった。
同センターは「データを総合すると、14年生まれのクロマグロは00年以降で最も少なかった12年を下回る可能性が高い」と結論づけた。
◆太平洋クロマグロ
最高級トロの原料となる大型のマグロで体重が300キロを超えるものもある。乱獲で資源が減少し、産卵能力がある親魚の資源量が過去最低レベルとなり、最近では生まれて新たに群れに加わる魚の減少も目立っている。日本も加盟する国際的な資源管理機関が、2015年から体重30キロ未満の未成魚の漁獲量を02~04年の平均に比べて半減させるなどの資源管理強化策に合意したが、専門家や環境保護団体の中には「この規制では不十分だ」との声が強い。
【共同通信】