部品落下など米海軍厚木基地(大和、綾瀬市)の航空機の深刻なトラブルはここ6年間、毎年冬に起きている。最近では2013年12月の三浦市で起きたヘリ不時着失敗、14年1月の綾瀬市のブレーキ部品落下などがある。艦載機の帰還に加え、新型輸送機オスプレイの飛来も常態化する中、今年も“シーズン”を迎えた。近隣住民らは事故のない空を願っている。
今年1月、戦闘攻撃機FA18スーパーホーネットのブレーキの一部の金属板(長さ約17センチ、幅約2センチ、厚さ約0・5センチ、重さ約170グラム)が綾瀬市の住宅街に落ち、車の窓ガラスが割れた。原因は設計ミス。3週間前には三浦市でヘリが不時着に失敗したばかりだった。
ここ6年間、米軍機による事故は12月から翌年3月までの間に発生している。基地を共同利用する海上自衛隊では同じ期間の部品落下事故は13年2月の1件だけで、米軍の事故の多さが際立つ。
厚木基地の米軍機の大半は横須賀基地の原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)の艦載機。GWは通常5月から11月にかけて遠洋に出港するため、艦載機も厚木基地を離れることが多い。冬季に事故が集中する主な原因はここにある。同基地は「すべての航空機は安全に飛行するために、正確で厳しい整備をされている」と話しているが、「自衛隊の方が整備を丁寧にやっている」と指摘する専門家もいる。
「飛行機が多ければ、事故が起きる確率も上がる」。米軍機の飛行差し止めと騒音被害の補償を求め、国を訴えている第4次厚木爆音訴訟の藤田栄治原告団長(80)は、今年から始まったオスプレイの厚木基地飛来を念頭にこう憂える。「事故が多い欠陥機のオスプレイの飛来も常態化しつつあり、事故の危険性は上がっている」と指摘する。だからこそ「航空機の飛行回数を減らさなければ、空の安全は保てない」と求める。
艦載機は17年までに山口県の岩国基地に移駐することになっている。綾瀬市基地対策課は「事故防止は市民全てに共通する思い。国と米軍は一刻も早く移駐を実現してほしい」と語った。
【神奈川新聞】