地元で働く大人たちを小学生が取材し、記事と写真でその魅力を伝える“新聞”がある。川崎市宮前区の女性ライターと子どもたちがつくる「じもたんキッズ」。1月にスタートし、区長や歯科医師、パティシエら20人以上の人柄と仕事内容を子どもならではの視点で紹介してきた。来年3月には1年分の記事をまとめて「街の働く人事典」をつくる計画だ。
「何の仕事ですか?」「どんな人と協力して働いているの?」
ノートとペンを手に、相手の目をまっすぐ見つめて質問する子どもたち。この日話を聞いたのは、デザインを通し地域を良くしようと活動するアートディレクターの村瀬成人さんだ。村瀬さんは「子どもの視点で新鮮な質問が多く、私も思いがけない発見があった」とやりとりを楽しんだ。
取材が終わると、子どもたちは30分ほどで原稿を書き上げた。女子児童(10)は「仕事だけじゃなく、まちづくりにも携わっていると知ることができた」。別の女子児童(10)は「いろんな年齢の人と仲良く一緒に働いているんだと思った」と話した。
じもたんキッズを企画したのはライターの中田真由美さん(44)=同区。小学4年の一人娘を育てる傍ら、母親仲間らと地元の飲食店や料理教室、ヨガスタジオなどを紹介するサイト「じもたん」を立ち上げた。
その一環で子どもたちにも地域を知り、人とのつながりを広げてもらいたいと新聞の制作を始めた。区内で働く人を中心にスポットを当て、月に2度子どもたちを連れて取材に出掛ける。
新聞はこれまでに第7号まで発行。少しずつ部数を増やし、今は200部を、取材した店舗などで無料配布している。掲載した記事をまとめ、「街の働く人事典」の制作を準備中だ。
20回近く参加している女子児童(10)は「取材した人と街で会うとあいさつしてくれる」と喜ぶ。「子どもたちが書いた記事で、お母さんたちも身近な人やお店とつながるきっかけになれば」と中田さん。来年以降も新聞の発行を続けるつもりで、取材に参加する子ども記者を毎回募集している。問い合わせは中田さん電話044(888)5097。
【神奈川新聞】