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14神奈川衆院選:問う(1)高齢化 単身世帯守るすべは

社会 | 神奈川新聞 | 2014年12月3日(水) 19:43

かつての駐在所を利用した団地住民の交流スペース。訪れる人が絶えない=千丸台団地
かつての駐在所を利用した団地住民の交流スペース。訪れる人が絶えない=千丸台団地

5人も座ればいっぱいになる狭い室内を、やかんを載せた石油ストーブがじんわりと温めた。

「今日は子どもたちが地域のお掃除をしてくれて」「私も一緒にやってきた。今年は大勢集まったね」

冷たい風が吹き抜けた晩秋の午後、座布団を敷いた小さなベンチに住民が肩を寄せ合った。

横浜駅西口から急行の路線バスで約30分。37棟(1174戸)が立ち並ぶ県営住宅、千丸台団地(横浜市保土ケ谷区)は今年で入居開始から半世紀を迎えた。単身世帯、高齢夫婦の世帯が大半を占め、かつて3千人を超えていた人口はいま2千人を下回る。

家族が、そして地域が縮む中、かつては駐在所だった27号棟1階の一室が「地域住民交流ボランティアセンター」に生まれ変わったのは3年前。少子高齢化が急速に進み、時に孤独死が表面化する地域の人々を結ぶ。

仕掛けの工夫は、1杯50円のコーヒーだ。「100円にすれば収益は増える。でもここは地域の縁側。住む人の収入を考えたら、50円が限界」と千丸台地区社会福祉協議会の南出俊男会長(82)。センターは家賃がかからないものの、年間20万円余りの光熱費や備品代は自前で賄わなければならない。昨年度は財団などの助成金で10万円を確保。残りの大半はコーヒーの売り上げから捻出した。

利用者は1日平均で40人に増えた。ボランティアとして月2回の当番もこなす女性(76)もよく立ち寄る一人だ。「若いころと違って、どこかで倒れやしないか心配になってきた。万一のときは誰かに助けてもらいたい。顔なじみを増やしておかなくちゃと思って」。閉じこもりがちだった人が顔を出すようになり、道行く人とあいさつをする機会が増えたと実感する。

だが、南出会長は「ここは見守りの拠点ではない」と言う。「出歩ける人はまだいい。本当に見守る必要がある人の安否は、こちらから出向かないと確かめられない」

20年近く続ける週1回の配食サービスは、そのための仕組みの一つ。訪問時に異変に気付いたら、承諾を得て預かっている合鍵で室内に入り、住人が倒れていれば119番通報する。鍵を預けている人は250人余り。居住者の親類や近隣住民から緊急用の携帯に連絡を受け、急を要する場面に何度も立ち会ってきた南出会長は実感を込める。「配食は人命救助だ」

役割は増すばかりだが、継続は容易でない。専門業者から仕入れる配食用の弁当は1食350円。今春の消費税増税時は何とか値段を据え置いた。「ぎりぎりで暮らす人にとっては千円で何回食べられるかだ。10円の値上げだってできない」と、自らも年金で暮らすだけに難しさを肌で感じている。

これまでは「お金ではなく、心で解決する」ことを基本に据えてきた。だが再増税時に同じようにしのげるかどうか、いまから悩んでいる。

だから疑問を拭えない。「政治がどれほど現場に目を向けているのか」。再増税とともに掲げられる社会保障の充実が、限られた予算で地道に地域福祉の輪を広げてきた千丸台のような地域にまで波及してくるとは、到底思えない。

「互いにみとれるような地域をつくりたいが、それを進めるのは行政でも、事業者でもない。限界はもちろんあるけれど、住民同士で支え合っていくしかない。そうした厳しい現実を知る人でなければ、託せない」

衆院選が公示された。争点は「アベノミクス」だけではない。暮らしの現場には切実な悩みや課題が横たわる。有権者が問うものは何か、耳を傾けた。

【神奈川新聞】

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