
大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)は17日、イタリア・ジェノバでの年次総会で、絶滅危惧種だが漁業資源が回復しているとして、2015~17年の東大西洋・地中海のクロマグロの漁獲枠を年2割ずつ増やすことを決めた。日本には全体の約8・3%が割り当てられ、割当率はこれまでとほぼ同じ。
欧州連合(EU)などからの輸入分も含めると、日本への供給量は増える見通し。新たに絶滅危惧種に指定された太平洋クロマグロは規制に向けた動きが強まる可能性があり、大西洋が日本の調達先として重要度を増しそうだ。
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大西洋クロマグロは、大半が日本に輸入されている。日本政府の交渉団は「枠の増加で日本への供給も増えるが、価格への影響は現時点では分からない」としている。
漁獲枠は15年が1万6142トン、16年が1万9296トン、17年が2万3155トンになる。日本は15年段階の大幅引き上げを主張したが、年2割ずつの拡大を訴えたEUの提案に沿った形で決着したという。漁獲枠の拡大決定は2年ぶり。
日本の割当量は17年で1931トン。トルコなどに特別枠が与えられ、ほかの国は現行と比べ割当率がやや下がる。14年の日本の割当率は8・5%だった。
ICCATは10日から年次総会を開催。現在1万3400トンに設定されている全体枠について約1万トンの拡大が可能とし、段階的引き上げを求めたICCAT科学委員会の報告書に基づいて拡大幅を協議してきた。
西大西洋の漁獲枠も、15、16両年について現在より14%多い2千トンに引き上げる。
○クロマグロ
日本では高級すしネタや刺し身の「本マグロ」として人気が高い。主に北太平洋と大西洋海域に生息する。太平洋クロマグロは、国際自然保護連合(IUCN)が17日に絶滅危惧種に指定。日本などは2015年から漁獲規制の強化に乗り出す。大西洋クロマグロは未成魚の漁獲を原則禁止にしたことなどで資源量が回復しつつある。
【共同通信】