津波による浸水が予想される県内の公立学校(幼稚園含む)は88校で首都圏最多だった。学校数の多い横浜、川崎両市で3分の2を占めている。最大級の津波を想定した場合でも、校舎上階や屋上で危険を回避できる地域が大半を占めるが、付近の高台への避難が欠かせないとして訓練を重ねる学校もある。
県教委などによると、浸水リスクのある学校が立地するのは、沿岸15市町のうち10市町。地域別の内訳は、県立学校を含めて横浜、川崎市が各29校、横須賀市13校、逗子市4校、三浦、鎌倉、茅ケ崎市各3校、藤沢市2校、小田原市、大磯町各1校。学校種別でみると、小学校49校、中学校25校、高校10校、特別支援学校3校、幼稚園1園となっている。
県が試算した「慶長型地震」で東京湾口に近い金沢区の最大波が4・9メートルと想定された横浜市。市教委は「沿岸部でも地形が平らだったり、坂道が多かったり、地域ごとに事情は異なる。校舎の上階へ逃げるのか、近くの高台を目指すのかは各校が個別に決めている」と説明する。やや低い3・7メートルを見込む川崎市は「想定では浸水は深い所でも2~3メートルほど。3階以上か屋上に避難すれば安全は確保できる」とみている。
学校数は少ないものの、津波の危険性は相模湾の方が高い。
県内最大の14・5メートルが予想されている鎌倉市は一部の小学校で簡易トイレなどの備蓄物資を上階に移すなどの対応を取った。10・7メートルの藤沢市では、海岸から約200メートルの市立湘洋中の現校舎(3階建て)が三角屋根のため、屋上に逃げられない。2017年の完成を目指して建設する4階建ての新校舎には避難施設を兼ねた屋上を設ける。
海に面している首都圏の他都県で浸水が想定される学校数は、東京7校、千葉46校、茨城11校だった。
■津波の浸水が想定される公立学校■
【横浜】
〈鶴見区〉入船小、汐入小、下野谷小、生麦小、寛政中
〈神奈川区〉幸ケ谷小
〈西区〉平沼小、岡野中、横浜平沼高
〈南区〉南吉田小、日枝小、中村小
〈中区〉横浜吉田中、港中、大鳥中、みなと総合高
〈磯子区〉根岸小、森東小、杉田小、根岸中
〈金沢区〉並木第一小、文庫小、八景小、金沢小、富岡東中、金沢中、六浦中、金沢総合高、金沢養護学校
【川崎】
〈川崎区〉殿町小、四谷小、東門前小、大師小、川中島小、藤崎小、さくら小、大島小、渡田小、東小田小、小田小、浅田小、東大島小、向小、田島小、新町小、宮前小、大師中、南大師中、川中島中、桜本中、臨港中、渡田中、富士見中、市立川崎高付属中、市立川崎高、田島支援学校、田島支援桜校、大師高
【横須賀】諏訪小、浦賀小、鴨居小、久里浜小、明浜小、荻野小、追浜中、常葉中、久里浜中、横須賀総合高、諏訪幼稚園、海洋科学高、追浜高
【逗子】逗子小、久木小、小坪小、久木中
【三浦】初声小、剣崎小、三浦臨海高
【鎌倉】御成小、第一小、腰越中
【茅ケ崎】汐見台小、東海岸小、第一中
【藤沢】鵠南小、湘洋中
【小田原】白鴎中
【大磯】大磯高
【神奈川新聞】