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富士山噴火初の合同訓練:県西部5市町 降灰想定し住民避難

社会 | 神奈川新聞 | 2014年10月20日(月) 03:00

富士山噴火を想定した訓練で、マスクを着け避難する住民ら=19日午前、開成町吉田島の県足柄上合同庁舎
富士山噴火を想定した訓練で、マスクを着け避難する住民ら=19日午前、開成町吉田島の県足柄上合同庁舎

富士山の大規模噴火を想定した神奈川、静岡、山梨3県による初の合同訓練が19日行われ、大量の火山灰が降り積もる危険性がある神奈川県西部では、5市町の住民が避難方法を確かめた。3県などは今年2月、溶岩流や火砕流、降灰といった多様な噴火パターンに対応する広域避難計画を策定。最悪の場合、神奈川だけで40万人が避難を迫られる降灰への備えをどう進めるかが今後の課題となる。

降灰やその後の土石流からの避難訓練が行われたのは、火山灰が30センチ以上堆積し、集落の孤立が懸念される秦野、南足柄両市と、松田、山北、開成の3町。火山灰を吸い込むなどして体調を悪化させることがないよう、住民はマスクやヘルメットを着け、地元の小中学校などに避難した。さらに、避難場所に想定した県足柄上合同庁舎(開成町)へ県が手配したバスや自衛隊の車両で向かった。

これに先立ち、3県の知事は山谷えり子防災担当相とテレビ会議を開き、対策を検討。火山性の地震や微動などが観測され、気象庁が5段階の噴火警戒レベルを1(平常)から3(入山規制)に引き上げた事態を想定し、登山者らへの情報提供や噴火時の連携を確認した。黒岩祐治知事は「偏西風で大量の火山灰の被害を受け、道路交通網がまひする可能性がある。孤立が懸念される地域の住民には早めの避難を呼び掛ける」と述べた。

広域避難計画によると、県内で2センチ以上の降灰の影響を受ける住民は830万人余り。30センチ以上の降灰で堅固な建物への避難が必要となる住民は、厚木、伊勢原両市、大井町、清川村を含む9市町村の40万人が想定されている。

◆首都機能まひの懸念も 健康や交通 多方面へ影響

富士山噴火で県内に影響を及ぼす降灰は、直接的に人の命を奪う危険性は低く、降り積もるまでに時間的な猶予もあるとされている。適切な避難で身の安全を確保できる一方で、影響は健康や交通、農作物など多方面で長期に及ぶ上、山間部に積もった火山灰が降雨で土石流を引き起こすリスクもはらむ。首都機能がまひする恐れもあるが、具体的な対策は立てられていない。

■車は走れず

「車に巻き上げられた灰で視界が遮られ、濃霧の中を走っているようで怖かった」。宮崎県高原町の防災担当者は、3年前の経験を振り返る。

2011年1~3月に爆発的な噴火を10回以上繰り返した霧島山(宮崎、鹿児島県)の新燃岳(しんもえだけ)。降灰は1~2センチ程度だったが、路面が滑りやすく危険だったため、10キロ以内の国県道を通行止めとした。スリップ事故も相次いだという。

麓の自治体に十分な備えはなかった。高原町に隣接し、一部地域で降灰が5センチ以上に達した都城市にマスクやゴーグルの備蓄はなく、支援を頼った。「せき込むなどの症状を訴える人はいたが、大きな健康被害はなかった。支援物資に助けられた」という。

両市町では建設業者の協力を得て重機で除灰が行われたものの、「除去後も噴火が起きて灰が積もり、心が折れそうになった」と県土木事務所の担当者。自宅の屋根に積もった灰を取り除く作業中に転落した住民ら20人以上が重傷を負った。除灰した市道の距離が1300キロに上った都城市では、公園や工業団地の未利用地など20カ所に灰を仮置きし、最終処分場も別に確保するなどの対応を迫られた。

■家屋倒壊も

それでも新燃岳の噴火は火山災害史上、中小規模に分類され、江戸時代の1707年に富士山で起きた大規模噴火には遠く及ばない。この「宝永噴火」では150キロほど離れた房総半島にも火山灰が降り注ぎ、山北付近で1メートル前後、横浜は10センチ、江戸でも5センチほど積もったとされる。影響で酒匂川流域では降雨時に土石流や洪水が多発した。

その再来を念頭に置いた国の試算によると、被害額は最大で2兆5千億円。人口や産業が高度に集積した首都圏では、鉄道の運行停止や空港の閉鎖、通信の機能不全、水道の供給能力低下などの影響が深刻化するとみている。降灰量の多い地域では、雨で灰の重みが増すと、木造住宅が倒壊する可能性もあるという。

ただ、富士山は噴火パターンが多様な上、宝永のような大規模噴火は極めて珍しいとされる。

「今、噴火の兆候があるわけではない」と話す神沼克伊・国立極地研究所名誉教授は、「降灰の被害はイメージしにくいが、知識や備えを積み上げながら、息長く備えていく必要がある。そうすれば地域の対応力も高まるはずだ」と指摘している。 富士山の大規模噴火を想定した神奈川、静岡、山梨3県による初の合同訓練が19日行われ、大量の火山灰が降り積もる危険性がある神奈川県西部では、5市町の住民が避難方法を確かめた。3県などは今年2月、溶岩流や火砕流、降灰といった多様な噴火パターンに対応する広域避難計画を策定。最悪の場合、神奈川だけで40万人が避難を迫られる降灰への備えをどう進めるかが今後の課題となる。

降灰やその後の土石流からの避難訓練が行われたのは、火山灰が30センチ以上堆積し、集落の孤立が懸念される秦野、南足柄両市と、松田、山北、開成の3町。火山灰を吸い込むなどして体調を悪化させることがないよう、住民はマスクやヘルメットを着け、地元の小中学校などに避難した。さらに、避難場所に想定した県足柄上合同庁舎(開成町)へ県が手配したバスや自衛隊の車両で向かった。

これに先立ち、3県の知事は山谷えり子防災担当相とテレビ会議を開き、対策を検討。火山性の地震や微動などが観測され、気象庁が5段階の噴火警戒レベルを1(平常)から3(入山規制)に引き上げた事態を想定し、登山者らへの情報提供や噴火時の連携を確認した。黒岩祐治知事は「偏西風で大量の火山灰の被害を受け、道路交通網がまひする可能性がある。孤立が懸念される地域の住民には早めの避難を呼び掛ける」と述べた。

広域避難計画によると、県内で2センチ以上の降灰の影響を受ける住民は830万人余り。30センチ以上の降灰で堅固な建物への避難が必要となる住民は、厚木、伊勢原両市、大井町、清川村を含む9市町村の40万人が想定されている。

◆首都機能まひの懸念も 健康や交通 多方面へ影響

富士山噴火で県内に影響を及ぼす降灰は、直接的に人の命を奪う危険性は低く、降り積もるまでに時間的な猶予もあるとされている。適切な避難で身の安全を確保できる一方で、影響は健康や交通、農作物など多方面で長期に及ぶ上、山間部に積もった火山灰が降雨で土石流を引き起こすリスクもはらむ。首都機能がまひする恐れもあるが、具体的な対策は立てられていない。

■車は走れず

「車に巻き上げられた灰で視界が遮られ、濃霧の中を走っているようで怖かった」。宮崎県高原町の防災担当者は、3年前の経験を振り返る。

2011年1~3月に爆発的な噴火を10回以上繰り返した霧島山(宮崎、鹿児島県)の新燃岳(しんもえだけ)。降灰は1~2センチ程度だったが、路面が滑りやすく危険だったため、10キロ以内の国県道を通行止めとした。スリップ事故も相次いだという。

麓の自治体に十分な備えはなかった。高原町に隣接し、一部地域で降灰が5センチ以上に達した都城市にマスクやゴーグルの備蓄はなく、支援を頼った。「せき込むなどの症状を訴える人はいたが、大きな健康被害はなかった。支援物資に助けられた」という。

両市町では建設業者の協力を得て重機で除灰が行われたものの、「除去後も噴火が起きて灰が積もり、心が折れそうになった」と県土木事務所の担当者。自宅の屋根に積もった灰を取り除く作業中に転落した住民ら20人以上が重傷を負った。除灰した市道の距離が1300キロに上った都城市では、公園や工業団地の未利用地など20カ所に灰を仮置きし、最終処分場も別に確保するなどの対応を迫られた。

■家屋倒壊も

それでも新燃岳の噴火は火山災害史上、中小規模に分類され、江戸時代の1707年に富士山で起きた大規模噴火には遠く及ばない。この「宝永噴火」では150キロほど離れた房総半島にも火山灰が降り注ぎ、山北付近で1メートル前後、横浜は10センチ、江戸でも5センチほど積もったとされる。影響で酒匂川流域では降雨時に土石流や洪水が多発した。

その再来を念頭に置いた国の試算によると、被害額は最大で2兆5千億円。人口や産業が高度に集積した首都圏では、鉄道の運行停止や空港の閉鎖、通信の機能不全、水道の供給能力低下などの影響が深刻化するとみている。降灰量の多い地域では、雨で灰の重みが増すと、木造住宅が倒壊する可能性もあるという。

ただ、富士山は噴火パターンが多様な上、宝永のような大規模噴火は極めて珍しいとされる。

「今、噴火の兆候があるわけではない」と話す神沼克伊・国立極地研究所名誉教授は、「降灰の被害はイメージしにくいが、知識や備えを積み上げながら、息長く備えていく必要がある。そうすれば地域の対応力も高まるはずだ」と指摘している。

【神奈川新聞】


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