他にはない神奈川のニュースを!神奈川新聞 カナロコ

  1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 公害の歴史後世に 「環境教育で活用を」川崎市OBらが冊子作成

公害の歴史後世に 「環境教育で活用を」川崎市OBらが冊子作成

社会 | 神奈川新聞 | 2014年10月18日(土) 03:00

川崎の大気環境史をまとめたNPO法人「環境研究会かわさき」のメンバー
川崎の大気環境史をまとめたNPO法人「環境研究会かわさき」のメンバー

大気汚染などの深刻な公害と向き合ってきた川崎の歴史を後世に残そうと、公害対策に携わった元行政マンらが「川崎の環境 今・昔」と題した冊子を発行した。第1弾は「大気編」で、高度成長の一翼を担った川崎の負の側面に焦点を当てている。関係者は「公害の過去を知ることで、今後のよりよい環境づくりに役立ててほしい」と話している。

冊子を作成したのは、同市で大気や水質の汚染調査などを担当した技術職OBらでつくるNPO法人「環境研究会かわさき」(井上俊明理事長、会員26人)。地域の環境問題を通年史にまとめた資料が少ないことから、スタッフが3年がかりで編さんした。

「川崎には過去に公害を経験し、現状まで回復させてきた歴史があるのに、資料が散逸し経験も忘れ去られようとしている」と井上理事長。市公文書館で行政資料を収集、企業の社史や歴史書籍などにも当たり、公害対策を担った元幹部職員へのヒアリングを重ねた。

「大気編」は1872(明治5)年の「新橋-横浜間鉄道開通」に始まり、市内全測定局で二酸化窒素濃度の環境基準を達成したことし4月まで約140年間が対象。年度ごとに市内のできごとや行政施策、国や県の動きを一覧表にまとめ、1972年の「市公害防止条例」公布や99年の川崎公害裁判の和解成立など、重要なトピックスには解説を加えた。

「工場誘致が町是」だった明治期以降、ばい煙による農業被害が相次いだが、戦後もその教訓を生かせず深刻な大気汚染を招いた歴史があらためて浮かび上がった。井上理事長は「市の若手職員にはもっと過去を知ってほしい。環境教育や学習の教材としても活用してもらえれば」と話している。

300部作成し、市内の図書館や高校、大学などへの配布を予定している。今後は「自動車対策編」「水質環境編」の編さんに取り組むという。冊子の問い合わせは、電子メール(kanken_kawa@yahoo.co.jp)へ。

【神奈川新聞】

 
 

図書館に関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング