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【照明灯】海水浴場のあり方

社会 | 神奈川新聞 | 2014年10月6日(月) 10:30

音楽も缶ビールもない。夏に訪れた米国ニュージャージー州南端のオーシャンシティのビーチには穏やかな時間が流れていた▼海岸沿いに延びるボードウオークに面して店が軒を連ねるが、砂浜に店はない。酒類を販売できない「ドライ・シティ」ゆえ、酔って騒ぐ人もいない。家族連れや若者がくつろぐ砂浜の落ち着いた雰囲気が印象的だった▼翻って神奈川の夏の海は近年、風紀の乱れが問題である。大音量で音楽を流す「クラブ化」は海の家が自主的に禁止したが、酔った客のトラブルは絶えず、騒音への住民の苦情も少なくない。県の有識者会議は県内統一ルールとして飲酒や入れ墨露出制限を盛り込んだ報告書を近くまとめるという▼振り返れば、国内初の海水浴場が1885年、大磯に開かれたのは海の効用を期待した医療目的だった。畔柳昭雄氏の「海水浴と日本人」によると、女性の利用者が増えたことで風紀の乱れを危惧した神奈川県が混浴禁止に動き、全国に広がったこともあった。明治、大正期の話である▼変わり続けてきた海水浴場だが、あり方を考える時期なのだろう。堅苦しい規制は好きになれないが、他の迷惑を顧みない楽しみ方も許されない。子どもが安心して夏の思い出をつくれる場であってほしい。

【神奈川新聞】

 
 

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