JR東日本横浜支社と小田原箱根商工会議所(鈴木悌介会頭)は25日、JR小田原駅の東海道線ホームの発車メロディーを地元ゆかりの童謡・唱歌「お猿のかごや」にすると発表した。市民からの提案がきっかけとなり、同商議所や小田原市観光協会などが駅メロ導入に奔走。鈴木会頭は「音を通じて小田原に来たという感覚を持ってほしい」と観光面での効果を期待している。
同支社管内では同線平塚駅(童謡・たなばたさま)や横浜線淵野辺駅(アニメ主題歌・銀河鉄道999)などで駅メロが導入されており、小田原駅は8駅目となる。一方で箱根登山鉄道の小田原駅では2000年3月から「箱根八里」の駅メロが流れている。
JR小田原駅は現在、一般的に使われている電子音の発車メロディーが流れているが、11月1日から「お猿のかごや」に変更する。この歌は歌詞に、「小田原提灯(ちょうちん)ぶらさげて」とあるほか、小田原では曲に合わせた「えっさホイおどり」のイベントも行われており、なじみも深い。
小田原市国府津の小学校非常勤講師伊藤洋子さん(67)が昨年暮れ、「JRの駅のメロディーを郷土に合ったものに」と同商議所などに提案。これをきっかけに同商議所は市や市観光協会、市商店街連合会などと連携し、アンケートを実施するなど、実現に向けた取り組みを続けていた。関係者を中心に寄付金も募り、初期費用となる約40万円が集まった。
伊藤さんは「最近はいろいろな駅メロがあり、降りると地域性を知ることができて楽しい。今回の導入が決まって本当にうれしい」と喜んでいる。鈴木会頭は「小田原の観光振興にもっと力を入れなければならない。五感で楽しんでもらいたい」と話し、今後は国府津駅など市内のほかの駅でも広げていく考えだ。
同じ東海道線では、10月から茅ケ崎駅でサザンオールスターズの駅メロが流れる。
【神奈川新聞】