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【社説】iPS細胞移植 実用化の促進へ弾みを

社会 | 神奈川新聞 | 2014年9月21日(日) 09:45

理化学研究所と先端医療センター病院のチームが世界で初めて人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜細胞の移植手術に成功した。

多様な細胞に成長する同細胞は難治性疾患の根治療法を開発するための有力な手法である。今回の臨床研究の成果を実用化へ向けた第一歩として、日本発の革新的医療技術を早期に患者の元へ届けてほしい。

手術の対象は目の難病「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」で、70代の女性患者本人から網膜細胞を作製し移植を行った。術後の経過は良好といい、がん化のリスクなどiPS細胞技術の有効性、安全性の検証を慎重に進めてもらいたい。

網膜の病気が初の臨床研究の対象になったのは、がんができにくいという目の特性がある。高橋政代プロジェクトリーダーは、移植した細胞に腫瘍が発症する可能性は低いとの認識を示しており、今後の経過観察で実際に裏付けられれば、他の疾患も視野に人への応用に道を開く「突破口」となろう。

iPS細胞の研究は網膜のほか、パーキンソン病、脊髄損傷、臓器再生、心不全など多岐にわたる。さらに患者の細胞を使い病態を再現することが可能なため、創薬過程での安全性評価への活用も期待されている。最先端の再生医療の実現を通じて、新薬開発など新たな産業の創出にもつながろう。

iPS細胞は技術的な革新性に加え、研究の推進体制も大きな特徴だ。開発者の山中伸弥京都大学教授が所長を務める京大の研究所を中核に国内の大学、研究機関が連携し、それぞれの独自の基礎研究に取り組んでいる。研究内容の多様性を確保しながら成果や基盤を共有するネットワークは、国際競争が激化する中で日本の大きな強みになろう。

県内のライフサイエンス(生命科学)特区に関連するプロジェクトでも臨床研究を見据える研究分野が登場している。慶応大学医学部と川崎臨海部の研究機関による脊髄再生は難治性の神経系疾患を対象にした再生医療として期待が大きい。

また、iPS細胞を臓器そのものに成長させる実験に世界で初めて成功した横浜市大先端医科学研究センターは、臓器再生技術の早期実用化へ向け研究体制を強化。研究促進によって、移植医療をめぐる臓器提供者(ドナー)の不足という世界的な課題の解決につながろう。

【神奈川新聞】

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