政府が成長戦略の一環として外国人材の活用を目指す方針を打ち出した。今後、県内でも多くの新戦力を迎えることになりそうだ。一方、多様な外国人を受け入れてきた神奈川は、外国人と共存する課題と向き合ってきた“先進地”でもある。新たな人材の受け入れ準備は整っているのか。現場から考える。
数百度の高温になる溶けた亜鉛の中に、金属部品が次々に沈められていく。金属加工メーカー、日東亜鉛川崎工場(川崎市川崎区)のラインで行われているのは、建築鉄骨や鋼管などのメッキ加工だ。
10メートル近い大型の部品も、クレーンでつるされて動いてくる。ラインで働く外国人技能実習生にとって、「危ない」という言葉を瞬時に理解できることも、安全確保には欠かせない。
「日本語は難しいです」。ベトナム出身の外国人技能実習生、グエン・バン・ズオンさん(28)は笑うが、仕事の合間に挑んだ日本語検定3級に昨年合格した。今は、7月に受けた準2級試験の結果を待っている。
母国では防災機器の営業をしていた。研修をしながら本国以上に収入を得るため、来日を決意。職場で経験を積むごとに給与も増え、送金もできるようになった。3年間の実習期間は今が最終年度。「機会があれば、また日本に戻ってきたい」と話す。
「非常に勤勉。実習期間に日本人従業員の技能を超える人もいる」。これまでに16人受け入れてきた技能実習生に対する光村邦広工場長の評価は高い。
技能実習制度の目的は「発展途上国への技術移転」。だが、人手不足は慢性化し、新人採用には毎年苦労しているのが実態だ。「貴重な労働力」として、技能実習生の存在感は年々高まっている。
「要は出稼ぎ」批判も
「人材不足でお困りではないですか? 外国人の雇用制度が拡充されます。当団体で仲介いたします」