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【社説】辺野古移設 民意踏みにじる強行だ

社会 | 神奈川新聞 | 2014年8月21日(木) 10:29

米軍普天間飛行場の辺野古移設が、大多数の県民の意に反する形で動き始めた。沖縄防衛局は辺野古の沿岸部で海底掘削調査を開始。軌を一にして米軍の新型輸送機オスプレイ4機が、本土での訓練のため米海軍厚木基地に飛来した。基地周辺の住民が不在のまま、日米同盟の強化が着々と進められていく。

辺野古移設をめぐっては、終戦記念日と前後し、米軍や工事用船舶以外の航行を禁止する臨時制限区域の設定や掘削調査のための台船の設置が矢継ぎ早に実施された。反対派住民が船上で抗議する中、民意を踏みにじる強行と言わざるを得ない。

沖縄県知事選を前に地元の意思を見誤れば、沖縄や本土の米軍基地問題は一層混迷を深めよう。憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認で自衛隊が他国の戦争に巻き込まれる危険性が高まり、平和憲法の根幹が揺らいでいる状況である。

一連の強硬姿勢からは、年末に予定されている日米防衛協力指針(ガイドライン)改定へ向け、新たな安保体制の整備を急ぐ政府の思惑が浮かび上がる。日米両政府は集団的自衛権行使容認をガイドラインに反映させることで一致しており、改定の中で自衛隊の役割拡大を見込む。

後方支援など自衛隊の海外活動の拡充は、首相が掲げる「積極的平和主義」、日本の軍事的役割を重視する米国内知日派の意向に合致する。一方で、憲法が禁じる「他国の武力行使との一体化」に事実上道を開くことにならないか。

ことしの防衛白書では北朝鮮の核開発や中国の海洋進出に強い危機感を示すと同時に、アジア太平洋地域での米軍プレゼンスについて「非常に重要」と評価。日本周辺の安全保障環境が深刻化しているとし、米軍の抑止力への期待をにじませた。

懸念されるのは集団的自衛権行使を具体化する関連法案整備が来年の通常国会に先送りされた点だ。来春の統一地方選を意識した判断との見方が専らである。日米協議を優先させる一方で、安保政策の争点化を避けているとの見方もある。

辺野古移設、日米一体化-。水面下で「戦争のできる国」の既成事実化が進んではいないだろうか。11月の沖縄県知事選では日米安保体制が足元の現実的問題として争点となろう。「沖縄の願い」にあらためて光を当て、その普遍性を再認識すべき時期に差し掛かっている。

【神奈川新聞】

 
 

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