
相模川を挟んだ平塚市大神地区と寒川町倉見地区で一体的なまちづくりを行う「ツインシティ計画」で、大神地区への市立相模小学校の移転をめぐり、予定地の地主たちと市側の溝が深まっている。「土地所有者の存在を無視したやり方だ」と、計画されている土地区画整理事業での用地取得に反対する地主に対し、2018年4月開校を目指す市側は「最もスムーズに移転できる」と、区画整理で進める方針を貫く考え。「計画通りの開校は難しいのでは」との指摘も出ている。
移転予定地とされているのは、大神公民館東隣の約1・9ヘクタール。現在はレンタル会社の建設機器置き場をはじめ、農地や住宅がある。
市環境施設課によると、市環境事業センター建設を受け入れる条件の一つとして07年1月、地区内に小学校のない大神地区住民の悲願だった相模小移転が、地元自治連合会と市の合意書に盛り込まれた。12年11月には、ツインシティ計画に伴う区画整理事業で生まれる土地を市が取得して移転する方針が、同連合会と市の確認書に書かれている。
予定地の地主の1人で、ツインシティ計画に慎重な立場を取る「大神地区まちづくりを考える地主の会」メンバーの男性は「なぜ移転の話がツインシティと一緒になったのか。土地所有者のわれわれに話もないのに、計画が出来上がってしまっている」と、区画整理事業で用地を取得する市の手法を批判する。
男性らは確認書が交わされた12年11月まで、予定地が区画整理で取得されることは知らず、その後も説明はなかった。地主側が要望して今年6月に開かれたミニ集会でも「予定地での建設ありきで、納得できる説明はなかった」と憤る。加えて、男性は他の地主とともに所有地の一部をレンタル会社に貸し付けているが、「市や土地区画整理組合設立準備会が直接、レンタル会社に移転を求めている」と指摘。“頭越し”の手法を批判するとともに、賃料収入減も懸念する。
また、「予定地は大神地区の一番北側。中心地に移転してはどうか」と、市が別の土地を直接購入する手法を提案する。
これに対し、市都市整備課は、区画整理事業を活用する理由を「学校建設に適した土地が他に見いだせない」と説明。市が直接購入すべきとの意見には、「区画整理事業で予定地を市街化区域にすることで、一番スムーズに移転できる」と、理解を求めている。
市は「今後も地元に対して、丁寧に説明していく」として、ツインシティ計画全体の説明会開催を検討している。
【神奈川新聞】