川崎市内の大気環境を独自に調査している市民団体「川崎から公害をなくす会」(神戸治夫会長)は、同市臨海部で行った微小粒子状物質(PM2・5)と二酸化炭素(CO2)の実態調査結果をまとめた。簡易測定器による参考値ながら、工場などの稼働率が高い平日に高濃度となる傾向があり、同会は「工場の生産活動が大気汚染に関係しているのでは」と推察している。
調査は7月21日から4日間、川崎区の東扇島中公園やJR鶴見線浜川崎駅前など、産業道路より海側の計10地点で実施。現在、市が臨海部に測定局を置いていないことから、今回で4回目となる調査地に選んだ。
このうち、10地点で1日5分ずつ測定したPM2・5の濃度は、4日間平均で1立方メートル当たり59・7マイクログラム。国の環境基準は1日平均値で同35マイクログラムと定められており、単純比較はできないが高い数値を示した。
JR扇町駅前では23日夜に127マイクログラムを計測。10地点とも、工場の稼働率が低く搬入車両が少なかった21日の祝日よりも22日以降の濃度が高かった。CO2濃度は2分間ずつ測り、10地点の瞬間最大値の4日間平均は505ppm。PM2・5と同様、22日以降に数値が高い傾向が出た。
同会は「高濃度の状態が長く続けば、健康被害を起こす可能性がある。労働者らの健康が見過ごされている」と指摘。今後、同市に臨海部への測定局設置などを求めていく。
【神奈川新聞】