母子3人が川に流され死亡した山北町中川のキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」を運営する不動産業ERD(小田原市)は4日、報道陣の取材に対し、初めてコメントを出し、謝罪した。また松田署は同日、3人の死因をいずれも溺死と明らかにした。
コメントは「亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、心よりおわびを申し上げます。弊社としましては責任を感じており、事故原因について鋭意調査し、分析した上で真摯(しんし)な対応をして参りたいと存じます」としている。
この事故では、中州に整備されたキャンプサイトの利用者が、大雨からの避難中に増水した川で流された。中州で営業しているキャンプ場は異例で、関係者は「中州でのキャンプはリスクが大きい」とし、同キャンプ場の安全管理の甘さを指摘する声が上がっている。
県厚木土木事務所や相模原、秦野、伊勢原市など、丹沢山麓にキャンプ場がある地域の行政機関が同日までに再確認を行ったところ、中州などの危険箇所にキャンプサイトを設けているキャンプ場はなかったという。
事故現場の河川を管理する県の県西土木事務所によると、同キャンプ場は2008年4月から11年8月までに無許可で土砂の搬入を繰り返し、中州を造成。少なくとも6回の是正指導を受け、その都度改善している。事故当時も川を渡って中州でキャンプを楽しむ四輪駆動車専用のキャンプサイト「アドベンチャーゾーン」を営業しており、同土木事務所は「中州のキャンプ営業を規制した法律は聞いたことがない。利用者の意識に任せるしかない」と頭を抱える。
1999年に中州にいた行楽客13人が流されて死亡した同町玄倉川の事故で、当時足柄消防組合(現小田原市消防本部)の消防長として救助活動などの指揮を執った小嶋吉治さん(65)は「あの地域は山間地なので急に雨が降る上に、周囲の岸壁が岩場になっていて、ちょっとした雨でもそのまま川に流れ込む。中州はキャンプをするような場所ではない」と強調した。
【神奈川新聞】