山北町中川の河内川で1日夜、一家が車ごと流され母子3人が死亡した事故。降雨による川の増水を心配した一家は、直前にも車で中州を2度渡っていたが、その直後に現場付近の水位が急上昇したとみられている。西丹沢では1999年にも13人が死亡する水難事故が起きており、関係者は急峻な山間地特有の水位上昇に注意を呼び掛けている。
松田署によると、会社経営の男性(43)=藤沢市=は1日から河内川沿いのキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」を利用していた。
同日夜、降りだした雨を気に掛けテントを張っていた中州から車で浅瀬を渡って近くの売店を訪れ、店員に「避難した方がいいですか」と尋ねた。避難を促されたため、すぐに車で中州に戻り午後8時ごろ、家族3人を車に乗せてもう一度川を渡ろうとした。だが対岸にたどり着く前に、濁流に押し流されたという。
男性の妻(42)と小学3年の長女(9)、同2年の長男(7)は約2~4・5キロ下流で遺体で発見された。
県酒匂川水系ダム管理事務所によると、現場近くの箒沢(ほうきさわ)地区では、午後7時半からの45分間で51ミリの非常に激しい雨を観測。約4キロ下流の水位計は同8時半から15分間で水位が55センチ上昇した。
県西部ではこれまでも、降雨による河川の急激な増水で水難事故が発生。1999年8月には、河内川の東側を流れる玄倉川の中州でキャンプ中の18人が流され、うち13人が死亡した。この時、ウェルキャンプ西丹沢でも139人が一時対岸に取り残された。
また2006年8月には、山北町や小田原市などを流れる酒匂川で釣り客ら25人が流されるなどし、2人が死亡した。
同事務所は「雨が降れば周りの山から一気に水が流れ込んでくるのが西丹沢の特徴。短時間で増水する危険性があり、特に注意が必要」と話している。
【神奈川新聞】