
戦争の悲惨さと平和の尊さを訴える映画「アオギリにたくして」(中村柊斗監督)が9月6日、横須賀市文化会館(同市深田台)で上映される。今月9日には被爆者の体験を聞く会も開催。「次の世代に伝えていきたい」と市民有志の実行委員会が企画した。
映画は、広島平和記念公園にある樹木「被爆アオギリ」の下で、子どもたちに被爆体験を語り継いだ故・沼田鈴子さん(享年87)の実話を基に製作。昨年末に完成し、全国で上映されている。
物語の主人公は1945年8月6日、広島で被爆し、片足を失った。さらに戦争で婚約者も亡くし、絶望に打ちひしがれた。その後、誰にも自身の過去を話したことはなかったが、原爆で焼け焦げになりながらも芽を出すアオギリに心を打たれ、アオギリの苗を全国で植樹しながら語り部としても生きていく。
実行委員長の大久保靖雄さん(74)は「原爆投下からもうすぐ69年。若い人が増え、戦争や被爆について語れる体験者が少なくなっている。次の世代にぜひ、伝えていきたい」と話す。
終戦当時は旧制中学校の3年生だった同実行委の入内嶋正男さん(84)は「戦争がいかに悲惨なものを生み出すかということを知ってほしい」と訴えた。
実行委は8月9日(午後2~4時)には市産業交流プラザ(同市本町)で、県原爆被災者の会副会長の佐藤良生さんを招き、「被爆者の体験を聞く会」を開く。
上映会は午前10時半~午後0時半、午後2~4時の2回。前売り券は大人千円(当日1300円)、高校生以下は前売り、当日ともに800円。予約・問い合わせは大久保さん電話090(2215)1405。
【神奈川新聞】