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【社説】ガザ紛争 融和は国際社会の悲願

社会 | 神奈川新聞 | 2014年7月29日(火) 12:05

イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの軍事衝突が激しさを増している。

パレスチナ自治区ガザで今月8日、イスラエル軍が空爆や地上侵攻に踏み切った。主な標的は武装勢力が侵入するための地下トンネルというが、民間人が次々と巻き込まれ、命を落としている。ガザ住民の避難所となっている国連運営の学校まで砲撃し、多くの子どもたちが犠牲となった。

現地の状況を報じる映像で連日、無抵抗な子どもたちの惨状を目にする。即時停戦は日本を含む国際的な悲願といえる。

中東問題は1948年、ユダヤ人によるイスラエル建国に端を発する。大国主導で分割されたパレスチナの地に樹立されたが、そこに暮らすアラブ民族の多くが住居を追われ難民となった。迫害に耐えて安住の土地を求めてきたユダヤ人とアラブ人の対立。中東の領土問題は悠久の時を経て根深い。

調停に向けケリー米国務長官が活動を本格化している。しかし、米国もまた強大なイスラエル軍を生み出す軍事援助を続けてきたことを思えば、具体的な解決策を導くのは難しいのではないか。アラブ人の反米感情は根強い。仲介役を果たしてきたエジプトもハマスとの関係が悪化している。

イスラエルとパレスチナの間では憎悪が日々増している。戦闘で肉親や子を失った人たちが報復し、さらなる怨恨(えんこん)を生む。

今回の戦闘のきっかけも、6月にイスラエル人の少年3人が誘拐・殺害された事件だった。ハマスの仕業と断定したイスラエルは多くのパレスチナ人を逮捕した。次にはパレスチナの少年が殺され、軍事衝突に発展した。

アインシュタインら多くの才能を生み出したユダヤ人だが、大戦ではナチス・ドイツによる虐殺にも遭った。虐げられるつらさを知る民族が今、大国から得た強大な兵器で子どもたちまで殺害している現実に、深い悲しみを覚えざるを得ない。

ハマス指導部に影響力を持つカタールに注目が集まるが、和解実現の道筋は見えない。中東問題の背景には利権を追う欧米やアラブ諸国の思惑が絡み、事態を複雑化している。それだけに中東和平は多くの国々の責務であり、同時に国際的融和にもつながる道と言えよう。

【神奈川新聞】

 
 

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