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減災 緊急地震速報誤報防止に道 気象庁が新手法

社会 | 神奈川新聞 | 2014年7月28日(月) 10:15

地震による各地の震度を予想し、強い揺れの到達前に知らせることを目指す緊急地震速報の精度向上や発表の迅速化に気象庁が取り組んでいる。東日本大震災以降に誤報が相次ぎ、信頼の確立に迫られた一方、技術開発が進み、海底地震計など新たな仕組みの活用に道筋がついたためだ。数年以内に新たな手法が導入される見通しだが、専門家からは「人々の安全確保につなげるためには、受け手の視点に立った改善が必要」との注文も出ている。

■過大予想

地震によるP波(初期微動)を捉え、続いて地表に届くS波(主要動)の大きさを瞬時に計算する緊急地震速報は、時間的な制約などから精度に難があり、予想震度と実際に観測された揺れが食い違うケースが少なくない。このため気象庁は2015年度に達成すべき目標を設定。予想震度と実際の震度との誤差がプラスマイナス1階級で収まる地域の割合を85%に引き上げることを目指している。

この地域割合はスタート当初の07年度に77%、08年度は82%とまずまずの実績を収めていたが、東日本大震災のあった10年度は28%に急落。震災時に最大で震度6強を記録した関東地方では震度4以上の強い揺れを予想できず、発表そのものができなかったが、その後は震度を過大に見積もるケースが続出した。「異なる地域でほぼ同時に起きた余震を一つの地震として計算してしまったため」(気象庁地震津波監視課)だ。

以来、技術的な修正を重ねてきたものの、昨年8月の和歌山県北部の地震ではマグニチュード(M)2・3だったにもかかわらず、最大震度7と誤報。関西を中心に鉄道の運転見合わせなどの影響が広がった。海底地震計から送られてきたデータ処理の不具合が原因で、実際には震度1以上は観測されなかった。

■限界なお

信頼低下を招く誤報をなくすため、気象庁は早ければ15年度末にも、別々に算出している震源地の位置や震度などを総合的に解析する手法を取り入れ、同時に複数の地震があっても見分けやすくする。16年度末以降は巨大地震発生時に強い揺れの範囲を見逃さない手法も組み合わせる。

さらに、海洋研究開発機構(横須賀市)が南海トラフ巨大地震対策として三重県熊野灘に20カ所整備した地震・津波計の観測データも速報に活用。この海域で巨大地震が起きた場合、速報の発表を数秒早められるようにする。

こうした改善策を通じて信頼性を高める方針だが、直下地震では震源の近くには速報が間に合わないというシステムの限界は解消されない。

災害心理学が専門の広瀬弘忠・東京女子大名誉教授は「以前は速報でパニックになると懸念されたが、誤報が相次いだことで速報が『日常化』し、人々が注意を払わなくなった」と指摘。今後、超高層マンションなどを揺らす長周期地震動の予測情報も速報の仕組みを利用して発表されるが、「そもそも気象庁が発表する警報や速報は多様化していて分かりにくい。言葉の使い方も含めて整理すべきだ」と強調する。

◇相模原市全校導入へ小中に受信システム

緊急地震速報を防災教育や児童・生徒の安全確保につなげようと、学校現場に取り入れる動きが広がっている。相模原市教育委員会は2014年度から全市立小中学校109校に受信システムを導入予定で、まずはこの夏休みを利用して小学校を中心に整備する。

「揺れを感じた後にどう安全を確保するかでなく、地震が来る前に身構えて命を守れるようにしたい」と同市教委の担当者。15年度までに全校に導入する計画で、約3千万円の事業費を見込んでいる。

受信システムは校内の放送設備に接続、速報が発表されれば注意喚起の音声が一斉に流れる。具体的な放送内容は今後詰めるが、配信会社のサービスでは、揺れが到達するまでカウントダウンで知らせることも可能という。

地震発生時に身を守る効果に期待しているが、防災訓練にも活用していく。中学校では先行的に今夏に導入される防災教育実践研究校の市立小山中は「教室や校庭、照明器具の下など状況に応じて取るべき行動は異なる。対応マニュアルを作り、2学期以降に訓練を行いたい」(佐藤修校長)としている。

このほか開成町は東日本大震災を受けて12年度に、小中学校3校と幼稚園1園に受信システムを導入。県立の特別支援学校27校でも整備が進められており、15年度で設置が完了する。

【神奈川新聞】

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