子どものころから美術鑑賞に興味を持ってもらおうと、横須賀市立北下浦小学校(同市長沢)で16日、横須賀美術館(同市鴨居)の所蔵作品を印刷した「アートカード」を使ったユニークな授業が開かれた。1年生28人が参加し、それぞれが自身の感受性を生かして、全64枚の中からお題に見合ったカードを選ぶなどゲーム感覚で美術に親しんだ。
同市では市立小6年生が、授業の一環で年1度、同館を見学している。学校側から訪問前にも美術について学べる教材がほしいという要望を受け、同館学芸員や市内の小中学校など5団体でつくる実行委員会が今春、文化庁の助成でアートカードを完成させた。学校への教材としての配布は全国的にも珍しい試みだ。
同館には油彩画や日本画、版画、立体造形作品など約4500点が所蔵されている。実行委員会は昨年度、市内の小中学校を対象に約20回の研究授業を実施する中で、64枚1セットの絵柄を選んだ。併せて、作品中の人物のポーズをまねたり、物語を想像してみたりするといった14通りの利用法も考案した。
カードは上下の目印が付いておらず自由に観賞できるのが特徴で、市立の小中学校に各10セット配られた。
児童らはこの日、図工の時間を使って、出されたお題に見合うカードを64枚の中から探した。赤や青といった色に始まり、「夏」といった抽象的なお題も。「難しい」といった声を上げながらも、「日焼けしているように見える」など自分なりの理由を考えて、小麦色の足の絵が描かれたカードを選んだりしていた。
女児(6)は「みんなと気になる作品が違うのだと思った。どっちが上向きか分からなかったけど、どうやって見ればいいのか考えるのが楽しかった」と話していた。同館の女性学芸員(29)は「自由な視点で作品に触れ、作品に親しみを抱いてほしい」と期待していた。
【神奈川新聞】