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【社説】研究倫理 教育と併せ実態究明を

社会 | 神奈川新聞 | 2014年7月8日(火) 10:29

STAP細胞論文問題や医師主導臨床研究への製薬会社の関与など相次ぐ研究不正を踏まえ、政府は研究倫理教育を強化する方針を示した。2014年版科学技術白書では、これまでに明らかになった数々の研究不正を「絶対に許されない行為だ」と断じた。

いずれのケースも世界的な研究機関、大企業が関わっている。教育を徹底するだけで不正を防げるのかどうかという疑問が残る。まずは不正の背景、経緯、要因を徹底究明することが先決ではないか。

その際、一連の不正を特別なケースとして矮小化してはならない。客観的検証を通じて教訓を引き出し、倫理教育と併せて具体的な防止策に反映させるべきであろう。なぜ先端研究や臨床の現場で研究倫理がおろそかになってしまったのか。研究者の名誉心や企業利益の追求、古くからの慣習などが、患者、消費者利益に先んじてしまったのだろうか。

科学技術分野では研究成果が実用化されて初めて社会に貢献できる。また、イノベーション(技術革新)を生むためには研究者の意欲を伸ばし、創意を発揮できる環境を提供する必要があろう。一方で、研究機関や企業もあくまで社会の一員である。研究開発に多大な国費が投入されているのであれば、なおさら国民の信頼が存立基盤といえよう。

STAP細胞問題では、実際に存在していたかどうかの検証が今後の焦点になる。しかし、それ以前に論文公表に至るプロセスや内容そのものに疑義が生じており、組織としてのチェック体制の甘さも露見した。科学的根拠の元になった英科学誌ネイチャーが関連論文2本を取り下げる結果となり、理化学研究所の信頼回復は容易ではない。

一方、大手製薬会社が関わった研究不正をめぐり、降圧剤の臨床研究で改ざんデータを医学論文に使用させたとして、東京地検特捜部が薬事法違反容疑で元社員を逮捕した。

新薬開発には多くの費用を要し、研究開発期間も長期に及ぶ。国の承認を得られず、開発努力が水泡に帰すケースも少なくない。研究者、開発者にとって実用化が死活問題になると言っても過言ではない。

不正を防止するためには、研究倫理やコンプライアンス(法令順守)体制の強化とともに、ともすれば敗者復活を許さない風土を変えていく取り組みも必要であろう。

【神奈川新聞】

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