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【社説】人口動態 広域連携で対策検討を

社会 | 神奈川新聞 | 2014年7月6日(日) 09:59

総務省が発表した1月1日時点の人口動態調査によると、国内の日本人の人口は前年から24万人減った。茅ケ崎市の人口に匹敵する数の日本人が、1年で消えた計算になる。

そのなかで、神奈川を含めた東京圏への一極集中が加速している。神奈川の日本人住民人口は894万人で、東京に次いで全国2位。前年からの増加数でも東京、愛知に次ぐ3位だった。

特に川崎市は、人口総計の出生数が死亡数を上回る「自然増」が全国の市区で首位。転入が転出を上回る「社会増」も全国5位だった。一方で、人口減少傾向に歯止めのかからない横須賀市は、前年からの減少数が全国最多となってしまった。社会減は全国2位、自然減も9位にランクインしている。

県内で人口動態の明暗が分かれた構図だが、これからの超高齢化社会を予測すると、人口を吸収する側と放出する側のどちらにも、今後に厳しい現実が待ち受けていると言わざるを得ない。

人口の増勢が強い町でも、地元の出生率が低水準のまま外からの流入が続いた場合、医療介護を必要とする住民の増加に地域の担い手の供給が追い付かない事態も懸念される。半面、人口減少を打開できない町では住民の多くを高齢者が占めていくことは言うまでもない。

先の国会では地域医療・介護総合確保推進法が成立した。介護の必要度が低い「要支援」向けサービスの事業は今後、市町村に移る。将来的に、福祉サービスの地域間格差が開く恐れも指摘されている。

サービスの偏在を是正できないまま超高齢化時代に突入すれば、地域社会への影響は深刻だ。もとより女性の出産・育児環境を整える対策が急務であることも論をまたない。

定住政策や子育て、医療、高齢者政策の対応を個別の基礎自治体だけに委ねるのではなく、町の役割を分担し合う広域な連携の枠組みを検討する時期に来ているのではないか。地方自治の底力が試される。

ところが、東京都議会では晩婚化対策などについて質問した女性議員に、自民党の都議が「早く結婚した方がいいんじゃないか」などとヤジを飛ばした。品位の欠如も問題であるが、そもそも不規則発言でこうした問題に言及する姿勢には、持続可能な地域社会を築く重責の一端を担っている自覚が感じられない。

【神奈川新聞】

 
 

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